作品情報
香港のツェンワンで母親と娘が惨殺される事件が発生し、15歳の息子が犯人であることが判明する。被害者の夫かつ父であり、また、加害者の父でもあるユンは、このような悲劇を招いた原因は何だったのかを究明するかのように、裁判を傍聴し、収監中の息子との対話を試みる。
『 お父さん 』レビュー
清水崇がプロデューサーを務めた「霊幻道士」のダークリブート『キョンシー』(2013)の脚本家としても知られるフィリップ・ユン。警察組織と裏社会の癒着を描いた『風再起時』(2022)が、去年の香港映画祭で上映されたのも記憶に新しい。
そんなユンが2010年に香港を震撼させた”荃湾母妹殺人事件”を題材に、自分の息子が妻と娘を殺害、つまり被害者親族であり、同時に加害者親族でもある父親の視点から、なぜ息子が事件を起こしてしまったのか、家族として赦すことができるか…といった、極限設定の重圧な人間ドラマを描いた最新作。
フラッシュバックされるかつての幸せ(だったはず)な日々、妻の出産、息子との自転車の練習など、ホームビデオのような映像が切なく、どこで間違ってしまったのかと、取り返しのつかない現実に苦悩する様は、人の親であっても、そうでなくても観ているだけで辛い作品だ。
なんだろう……今年のTIFFはえらく重い作品が多い気がする。
点数 85
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