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この映画語らせて!ズバッと評論!!【第37回東京国際映画祭SP】『オラン・イカン』敵国兵士との友情と絆、そしてクリーチャー!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!【第37回東京国際映画祭SP】『オラン・イカン』敵国兵士との友情と絆、そしてクリーチャー!!

作品情報

太平洋戦争中のインドネシア。日本兵の斎藤は、上官に反抗した罪で軍法会議にかけられることになり、捕虜を日本に輸送する船の中に押し込まれていた。だが、連合軍の潜水艦の攻撃を受け船は沈没。斎藤とイギリス人捕虜のブロンソンは、どことも知れぬ島の海岸に流れつく。言葉も通じずいがみ合うばかりのふたりの前に、異様なモンスターが姿を現す…。

『 オラン・イカン 』レビュー

『モンキーマン』のプロデューサーのひとりでもあり、近年はホラーユニバースの「Losmen Melati」シリーズ・クリエイターとしても知られるマイク・ウィルアンが監督を務めたモンスター・パニック。

オラン・イカンとは、太平洋戦争時代に、日本兵が見たといわれているUMAでもあり、オラン=人、イカン=魚という意味だ。

ディーン・フジオカのキャラクター構造が良くできていて、間の使い方が完璧で、少し『Pure Japanese』のようなミステリアスな部分もある。

日本人のキャラクターが、唐突に日本刀で戦うことになるシーンは、例えば『プレデターズ』など、様々な作品であったが、ディーンの場合だと違和感がないのが不思議だ。

おそらく、全く理解していないわけではないが、サイトウとブロンソンの言語が通じないなかでも、敵同士とはいっても、もとは同じ人間。極限の環境下で友情と絆が芽生えていく様子は、三船敏郎の『太平洋の地獄』がベースになっているようだ。

敵対している者同士が共通の脅威に立ち向かう設定でいえば、韓国映画『白頭山大噴火』や『モガディシュ 脱出までの14日間』、『スティール・レイン』、ほかにも多くの作品で良く描かれているが、人間の本質を描くうえでうってつけ。

人間ドラマだけでも見応えのある作品ではあるのだが、そこに謎のクリーチャーが現れて、モンスター・パニックが加わってくる。映像から何となく、マイク・ウィルアンのオタク感が何となく伝わってくる。

昔ながらの着ぐるみがB級ホラー感を強めているが、それも味として機能している。ちなみに中に入っているのは、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』でキングギドラのモーションキャプチャーをしていたアラン・マクソンだ。

デザインは、『大アマゾンの半魚人』というよりも、プレデターの初期脚本デザインに近いような感じがした。意識しているのだろうか……。

点数 88

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