ラジオ番組「バフィーの映画な話」Spotifyなどで毎週配信中!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!【第37回東京国際映画祭SP】『叫び』”何かに”襲われる恐怖を描いたジャッロ×現代ホラー

この映画語らせて!ズバッと評論!!【第37回東京国際映画祭SP】『叫び』”何かに”襲われる恐怖を描いたジャッロ×現代ホラー

作品情報

アンドレアは“何か”に尾行されている。だが、その“何か”は誰にも見えず、彼女自身にも見えない。20年前、1万キロも離れた場所で、マリーは同じ存在によって脅かされた。唯一、カミラは自分に何が起こっているか理解できたが、誰も彼女の言うことを信じない。その“何か”に立ち向かおうとした時、3人の女性は皆、恐ろしい叫び声を耳にする…。

『叫び』レビュー

東京国際映画祭の上映作品のなかには、現実社会そのものがホラーのように扱った作品は多いが、ストレートなホラーもたまに上映されている。とくにスペインやメキシコなどのラテン系ホラーは、ジャッロの路線を行くものが多く、第34回で上映され、のちに劇場公開もされた『ベネシアフレニア』(2021)もその類だ。

今作は、“何か”に尾行されている恐怖を、一見無関係の3人の女性の視点で描いた心理ホラー。『理想郷』(2022)や『ゴッド・セイブ・アス マドリード連続老女強姦殺人事件』(2016)など、ロドリゴ・ソロゴイェン作品でお馴染み、他にもNetflix映画『檻の中』(2022)など、神経逆なで系作品が得意なイザベル・ペーニャが脚本を務めているのは注目すべき点だが、一番特徴的だったのは、独特の映像センスだ。

リアリティー番組やザ・ウィークエンド「Secrets」のミュージックビデオを手掛けたペドロ・マーティン=カレロの長編初監督作品だけのことはあり、スタイリシュな構図からは、MVの経験が存分に活かされている。

作品のテイストとしては、『イット・フォローズ』に少し似ている。同作の場合は、性病のメタファーとして描かれていたのだが、今作の場合は、一族に付いてくる遺伝なのか、継承なのか。その存在に気づくことがトリガーとなって襲ってくるのかなど、今作だけでは判断できない部分は多いのだが、どことなく『キャンディマン』的な側面もある。

点数 86

東京国際映画祭作品特集カテゴリの最新記事