
作品情報
ロサンゼルス郊外で恋人レティや息子リトル・ブライアンと暮らすドミニク。彼らの平穏な日々は、旧敵サイファーからもたらされた情報によって激しく揺らぎ始める。12年前にドミニクらが倒したブラジルの麻薬王レイエス―その息子ダンテが家族や未来を奪われたことから、激しい復讐心に駆られ、行動を起こし始めていたのだ。“今度は俺が奪ってやる”―ダンテの宣戦布告に受けて立つも、敵の大胆かつ巧妙な策に翻弄され、ドミニクと仲間たちは分断され、苦境に追い込まれる。そして危険はリトル・ブライアンの身にも確実に迫っていた。家族を守るために死線を超え、ローマ、リオ、ポルトガルへと飛ぶドミニク。ファミリーの誰かが犠牲になるかもしれない。それでも戦わなければならない―かつてないほど危険なミッションが幕を開ける!
『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』レビュー

レースが主体だったはずの作品がいつの間にやら娯楽アクション映画の定番作品へと変化した「ワイルド・スピード」シリーズ。
そのシリーズを良くも悪くも今の方向性に導いてきたジャスティン・リンが監督を降板しての最終章突入というのは不完全燃焼感があるものの、一応脚本には次回作共々関わっているというから一安心?
今回新たに登場するヴィランが、『ワイルド・スピード MEGA MAX』でドミニクとブライアンたちが倒したレイエスの息子のダンテ・レイエス。精神疾患を持ち、先の読めない狂暴性をもっているという設定で、突然コミック映画のようなキャラクターが登場してきたわけだが、おそらくこのダンテというキャラクター構造の中には、コミック版の「バットマン」に登場するジョーカーが含まれているような感じがしてならない。
ドミニクへの執着や直接的ではなく、周りから攻めていく心理的戦略、そして突然思わぬ行動に出るという点が酷似しており、ヴィン・ディーゼルの声も渋いことから、バットマンとジョーカーの関係性が下敷きにあるように感じられるのだ。
それもあって、ダンテはとにかくドミニクの周りを攻めていくというスタイルなのだが、そうなってくると避けては通れなくなってくるのが、ブライアン問題だ。
ブライアンを演じていたポール・ウォーカーが事故で亡くなってしまったことで『ワイルド・スピード SKY MISSION』以降は、ブライアンは「ワイルド・スピード」の世界上では生きている設定になっているし、『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』でも後ろ姿を映していたり、今作の中でも映像や写真が使用されていて、何かと焦らした演出になっているのだが……こんなに引っ張っておいて、どうするのだろうか。
今作はあくまでドミニクがターゲットであるという説明で済むかもしれないが、ドミニクを倒した後の標的は当然ながらブライアンになるわけで、当事者のブライアンを通り越してホブズやクイーニー、ましてやモニターに一瞬映るエヴァ・メンデス演じるモニカというのも回りくど過ぎておかしな話になってくるのだから、いよいよ登場させないといけない状況になってきてしまったわけだ。
アクションを楽しむ娯楽映画なのだから細かいことは気にしなくいいというスタンスなのは別に良いとしても、最終章と言って風呂敷を広げ過ぎて、結果的にいろいろと問題が山住になってしまっている気がしてならないのは私だけではないはずだ。
今作含め3作制作されるらしく、ヴィン・ディーゼルとドウェイン・ジョンソンの不仲がどうなったのかは不明だが、今作と次回作の間に『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』の続編を挟むのであれば、直接対面はしなくても済むのかもしれないが、問題はそれどころじゃない!!

点数 77
コメントを書く