ラジオ番組「バフィーの映画な話」Spotifyなどで毎週配信中!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『グレート・インディアン・キッチン(タミル・リメイク版)』内容をなぞるだけリメイクは現代インドにおいて必要なのか?!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『グレート・インディアン・キッチン(タミル・リメイク版)』内容をなぞるだけリメイクは現代インドにおいて必要なのか?!

作品情報

主人公はある女性。結婚した家族の慣習や伝統に対処しようとするが、姑が数ヶ月留守にしたことで、彼女の生活は終わりのない家事、それはまるで牢獄や呪縛のようでもあった。唯一の理解者だと信じていたはずの夫の本性も次第に明らかとなっていく……。

『グレート・インディアン・キッチン(タミル・リメイク版)』レビュー

マラヤーラム語映画『グレート・インディアン・キッチン』のタミルリメイク。

多言語国家のインドにおいて、国内でも言語が通じないこともあり、同じ国なのに英語字幕(メジャー作の場合は州に合った字幕がある場合も)で別の地域の映画を観るという、他国から見ると不思議な状態。

そんな環境によって、国内で言語を変え、地方のスターに置き換えたリメイクが何本も作られる。

しかし、配信サービスが普及したことで、主要な言語は字幕を出せるようになった。また「汎インド映画」といわれる最初から多言語版を制作する流れもあったりで、そういったリメイクスタイル自体が変わりつつある。

今後、インド国内リメイクの在り方というのはさらに変化していくだろう。

オリジナル版はケーララ州を舞台に家庭という呪縛に押しつぶされそうになる女性の姿を描き、男性の根底にある女性蔑視、つまりミソジニーを扱った作品ではあるが、こういったテーマは、インドだけに限らずどこの国、地方にも通じる内容であり、多くの共感をよんだ作品。

夫婦に名前が設定されていないのも、誰にでも当てはまったり、思い当たることがあるようなことが描かているからだ。

もともとNetflixでは多くのウーマンパワーを描いた作品が制作されて、それを世界に発信してきたが、近年も『ダーリンズ』や『アムー ~負けない心~』といった、同じくミソジニーを扱った作品が多く制作されていることからも、リメイクされる流れも当然といえるだろう。

監督を務めたR・カンナンはこれまでにも『Ninnu Kori』や『Delhi Belly』といった作品のリメイクをいくつも手掛けており、次も『Kasethan Kadavulada』のリメイクを制作中と、とにかくリメイクが得意な監督として知られている。

配信サービスを通じてオリジナル版が字幕付きで観られる状況であることから、舞台を別の地方に移しただけで、内容をそのままリメイクしても仕方ないように思えるが、今作はオリジナル版の内容をほとんど繰り返しているだけである。

ブラッシュアップされて内容がスマートになっている感じはするし、主人公がダンサーになりたいという動機付けがはっきりしている部分、そして主演のアイシュワリヤー・ラジェシュの魅力も詰まっていて、タミル映画のコメディ俳優ヨギ・バブも出演しているが、やはり焼き回しという感じがしてしまう。

ちなみにサニヤー・マルホートラ主演でヒンディー・リメイクも製作されているが、 描くべきテーマ性はそのままでもっと思い切ったアレンジを加えて欲しいものだ。

点数 74

この映画語らせて!ズバッと評論!!カテゴリの最新記事