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この映画語らせて!ズバッと評論!!『Saakini Daakini』人身売買組織に立ち向かう警察研修生の活躍を描くテルグ製女性バディムービー!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『Saakini Daakini』人身売買組織に立ち向かう警察研修生の活躍を描くテルグ製女性バディムービー!!

作品情報

初日から何かと衝突し合う、性格も考え方も正反対の警察研修生シャリニとダミニだったが、あることをきっかけに意気投合し仲良しに。一緒にクラブに行った帰りに偶然にも誘拐事件に遭遇。仕方なく独自で捜査することになるが、その背景にあったものは、ふたりの想像を超える闇だった……。

『Saakini Daakini』レビュー

警察学校で訓練をつむ両極端な性格の研修生ふたりは何かと衝突し合いながらも、互いの弱点をカバーするかのように友情と信頼を築いていくポリス・アクション・コメディ。

初日から寮に大量の食品やお菓子を持ち込むほど食いしん坊でがさつなシャリニと、冷静でインテリ思考のダミニが出会ったことで起こる化学変化を描いていて、日本やアメリカ、というか世界的によく使うプロットに基づいていて、設定や入り口としては特別な目新しさはない。

映画というより、ドラマとして描くのに適しているプロットであるし、主演のニベサ・トーマスとレジーナ・カサンドラがそれぞれのキャラクターによく合っていて、今後ドラマシリーズとして展開してもらいたいと思わせる作品だ。

捜査過程においても、ふたり個性が際立ち、それが結果的にふたりを助けていて、伏線も上手く使っているのも見所。

『マルガリータで乾杯を!』や『Four More Shots Please!』などに使用されている楽曲の数々からもわかるとおり、キャッチーなサウンドが得意で、最近では「NEXA Music」シーズン2の作曲家としてもお馴染みのマイキー・マクレアリーが作曲し、ラムヤ・キルタナが歌うポップなテーマソングがあらゆるシーンで効果的に使用されていることもあって、全体的にコメディ要素が強いのかとも思うが、後半からはクライムサスペンスの要素が強くなっていき、そもそもコメディだったのか??と不安にもなってくる。

流れで関わらざる得なくなってしまった事件ではあったものの、その現実の酷さにふたりの正義感が揺らいでいく。警察組織としては、まだ研修生であるふたりが捜査すること自体に許可が下りず、協力もあまり得られないまま、自分たちは警察組織の人間として、それ以前に人としてどうするべきなのかと葛藤していく流れもスムーズで、2時間以内によく詰め込んであるのではないだろうか。

また事件の背景に描かれているのは、インド国内で問題視されている違法な代理母出産や売春を目的とした人身売買組織を描いていることあって、実は社会派な作品でもある。

女性だからと手加減一切なしで、南インド映画らしいというべきか、容赦しなく鈍器やオノで血なまぐさく襲ってくる男たちに殴り込みをかけるふたりの雄姿はアクション映画としても見応えがある。

またラムヤ・キルタナとシリーシャ、ソウジャンヤ・バァガヴァトゥーラが歌う「Kadile Kadile」がクライマックスシーンで効果的に使用されているのも印象に残る。

新たな女性バディムービーが誕生したといえるだけに、シリーズ化は本気で検討してもらいたい。

点数 84

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