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この映画語らせて!ズバッと評論!!『シャザム!~神々の怒り~』18歳の少年が変身すると幼稚になるのは、人間の本質なのかもしれない……

作品情報

ごく普通の少年ビリーは、魔法の呪文「シャザム!」を唱えると、神々の力を宿したスーパーヒーローに大変身!そんな“見た目はオトナ、本当はコドモ”の半人前ヒーローのシャザムが、神々を怒らせてしまった…!? 復讐に燃える“神の娘たち”がペットのドラゴンを引き連れて地球に降臨。未曾有の危機を前に、ビリー=シャザムは人類や世界のためではなく、ダメな自分を受け入れてくれた仲間のために立ち上がるが…。神々の力を手にするシャザム VS 怒れる神の娘たち。神様だらけの最強バトルが開幕する!

『シャザム!~神々の怒り~』レビュー

前作『シャザム!』では14歳という設定だっただけに、外見は大人の姿になっても中身は少年のままという「名探偵コナン」の逆バージョンネタを使えたわけだが、今作のビリー・バットソンはもうすぐ18歳。つまり少年という年齢ではなくなっているのだ。

それなのに、変身すると相変わらずの幼稚さをみせている。

「シャザム!」という作品自体は、アメコミライターによってシリアスにもコミカルにも描かれるため、今作のようなコメディ路線のアプローチが決して間違っているというわけではない。したがってコメディだから~ということはどうでもいい。

はじめは、コメディ部分が行き過ぎて、なんだかおかしなことになっているなと感じたのだが、よくよく考えてみると、本当にそうなってしまうのかもしれない。

力を手にした者は幼稚になってしまうのではないだろうか……。

独裁者も権力があるからこそ成り立つのであって、それは力への依存であり、幼稚で単純な考えだったりする。

ビリーは14歳で能力を持ってしまったことから、何かあれば変身して解決すればいいだろうという脳になってしまっている。そういった力への依存が、人間としての成長に歯止めをかけてしまっているとしたら、今作のテーマは力への依存がもたらす破滅なのかもしれない。

今作のヴィラン側も同じであって、力の魅力に取りつかれ、もともとの目的を見失ってしまっている。

力を持った者たちの争いによって、周囲の人間たちがモブのように扱われてしまうことも現実社会に共通するといえないだろうか。

正義だとか悪とか線引きしているのは、あくまで当事者の意識の問題であって、それを俯瞰的に見ている人間たちにとっては大きな迷惑でしかないというのに、一周回ってヒーローとして崇められるのも滑稽だといえる。

単純なポップコーンムービーとして作られているだけに、そこまで深い意味は隠されていないのかもしれないし、実際に魅力的なアクションは満載の作品ではあるが、結果的にいろいろ考えさせられる作品となってしまっている。

また、すでに破綻してしまっているDCユニバースだが、今作が制作されていた頃はそんなことは知らなかったわけで、当然のようにDCユニバースや『ブラックアダム』に繋がる要素が散りばめられている。

それが実現しないと知った今にそういったシーンを見せられるというのは、悲しさすら感じてしまう…….。

点数 77

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