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知らないなんて損してるっ!インド音楽アーテイスト図鑑:#2 KDiva

今回紹介するのは、block FMの記事や2月23日のアフター6ジャンクション「インドエンタメ最前線」の中でも紹介した東インドの女性ヒップホップアーティストKDiva!!

インド映画、例えば北のボリウッドなどのようにダンスシーンにラップパートを入れる機会があまりなく、それでもヒップホップテイストなダンスにしたいというのもあってヒップホップ自体に需要はあったため、普段ポップソングやバラードを歌っているアーティストがヒップホップにも手を出すという流れが主流だった。

インドの音楽業界と映画業界は製作に音楽レーベルが入っていたり、音楽レーベル兼映画制作会社というのも珍しくなく、密接に繋がっていることもあって、ヒップホップは需要があっても、ラップとなると映画の作中に挿入し辛いし、前例としては『レース3』や『ZERO』のようになくもないが、そこまで需要がなかったため、そもそも女性ラッパー自体が不在だった。

そんな中でもバードシャーや『ガリーボーイ』のモデルになった ように、男性ラッパーは誕生しており、映画の中でも活躍の場を見出してはきていたものの、女性ラッパーが誕生してこなかったもうひとつの大きな理由としては、インドにおいて女性というものが、男性を立てるべきだとかそもそもな男性優位主義、女性蔑視等の保守的な概念があった中で、女性がスラングを使ってラップをするという行為自体が良しとされてこなかった。しようものなら親や親せきから非難されることは間違いないという状況。

2018年に『ガリーボーイ』が公開され、大ヒットしたことでアングラジャンルだったラップ自体がメジャーシーンに持ち上げられたことや、丁度DeeMCという女性ラッパーが登場(『ガリーボーイ』のラップバトルシーンにも本人役で出演)したこと、MTVでラップパトル番組「ハッスル」が放送開始されたこと、Z世代はそもそも保守的な概念を気にしないということなど様々な要素が2018年頃に合致して、ざっくり言うと「女性もラップしていいんだ!」ってことになったわけだ。

さらにデジタル化によって配信サービスや音楽サイトで海外のエンタメに触れることが簡単になったことから、インド映画自体の在り、概念というものが変わってきたこともあり、欧米やヨーロッパの映画のように主題歌とエンディングだけに音楽を使用して、ダンスシーンは入れないという作品も年々増えてきたことから、ラップの入った曲も主題歌として起用できる土壌が出来てきた。

それらの要素が重なって、男性ラッパーもそうだが、もともとほとんどいなかった女性ラッパーが急増することになったのだ。

現在放送中の「ハッスル」シーズン2でもシーズン1と比べて圧倒的に女性参加者が増えていることがわかる。

以前紹介した「ハッスル」で大人気のスラシュティ・タワデやスリランカのYouTuberから歌手デビューを果たし、今はボリウッドのプレイバックシンガーとして活躍するヨハニなどの活躍も目立つ中、東インドやバングラデシュでもそのムーブメントというのは伝わっていて、多くの女性ラッパーが誕生している。

その中でもKDivaは東インドの中では頭角を表している。MC Dishaやスカンヤといった同じく東の女性ラッパーで結成された「イーストサイドクィーンズ」の活躍にも注目が集まっているのだ。

2月に公開されたベンガル語映画『Doctor Bakshi』の主題歌にも起用され、がっつりとラップパートの入った曲が採用されている。

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