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この映画語らせて!ズバッと評論!!『シャイロックの子供たち』東京第一銀行ユニバース!半沢直樹のヴィラン前日譚のようだ!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『シャイロックの子供たち』東京第一銀行ユニバース!半沢直樹のヴィラン前日譚のようだ!!

作品情報

東京第一銀行の小さな支店で起きた、現金紛失事件。ベテランお客様係の西木(阿部サダヲ)は、同じ支店の愛理(上戸彩)と田端(玉森裕太)とともに、事件の真相を探る。一見平和に見える支店だが、そこには曲者揃いの銀行員が勢ぞろい。出世コースから外れた支店長・九条(柳葉敏郎)、超パワハラ上司の副支店長・古川(杉本哲太)、エースだが過去の客にたかられている滝野(佐藤隆太)、調査に訪れる嫌われ者の本部検査部・黒田(佐々木蔵之介)。そして一つの真相にたどり着く西木。それはメガバンクにはびこる、とてつもない不祥事の始まりに過ぎなかったー。

『シャイロックの子供たち』レビュー

舞台は東京第一銀行。つまり池井戸潤の作品「半沢直樹」や「花咲舞が黙ってない」などに登場する銀行だ。この銀行は常に何等かの問題を抱えていて、小さな支店ですら問題だらけだということがわかる。

原作やテレビドラマ版とは違った展開らしいが、銀行員が大小限らず、汚職に手を出すのにも様々な理由があって、運よく逃れられる者もいれば、その闇に飲み込まれて泥沼化する者もいる。

そして何より主人公が人としては人当たりも良く、部下想いで良いのかもしれないが、銀行員としては決して良いといえる存在ではないことからも、主人公ふくめ今作に登場する全ての人物が、「半沢直樹」に登場するヴィランたちのエピソードゼロのような作品としても機能しているのだ。

池井戸は、元銀行員だけあって、内部事情や専門用語の細かい造形がしっかりしているだけに、銀行のあり方、銀行員の胸の内というのが浮き彫りにされることが多い。

ドラマや映画だと「半沢直樹」シリーズの歌舞伎的な過剰演出や、今作のようなブラックユーモアによるコミカルな要素が加えられていたりして、視点を散らしてくれてはいることから、あくまでフィクョンとして観られるのだが、銀行と取引きをしている個人や企業の視点から観ると、銀行の全体造形が深いことも重なって、終始安心できないものとなっている。

半沢直樹が恐れを知らず突き進めるのは、出来過ぎた妻がいて、子どもがいないことが後ろ盾になっていると思っていて、実は悪役の方が守る物が多かったりして人間的に感じる。正義感や夢やロマンの元に突き進む半沢直樹の方が現実世界においては、よっぽどフィクション的なのだ。

それもあって、今作に登場するような銀行員こそがリアルで本音だと思うと、誰でも複雑な気持ちになるのではないだろうか。

点数 80

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