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この映画語らせて!ズバッと評論!!『愛しのモニカ』東野圭吾原作”ブルータスの心臓”をインド風にアレンジ?!!

作品情報

仕事もプライベートも順調だった天才ロボット工学者ジャヤントは、愛人モニカが妊娠したことを知り、殺害する計画を立てるが、共犯者が次々と何者かに殺害されていく。犯人はモニカなのか、それとも…….。Netflixで配信中のインド映画。

『愛しのモニカ』レビュー

ヒューマ・クレシ演じるモニカが登場するシーンでアシャ・ボスレの「Piya Tu Ab To Aaja」をサンプリングしたといってもアレンジが強く、もはや別の曲になっている「Yeh Ek Zindagi」が流れて展開されるダンスシーンが印象的な作品ではあるが、基本的にミュージカルシーンは冒頭にしかない。

何と言っても今作の原作は東野圭吾の「ブルータスの心臓」ということだ。インド映画において日本作品を原作にするということ自体が珍しいが、大まかなプロットという側面だけで、基本的にほとんど別ものだ。

モニカを殺そうとした関係者が次々と殺されていくことで、犯人はモニカか、もしくは別の人物か……といったところだが、インドは実話もののクライムサスペンスドラマは得意ではあっても、単発のサスペンスやホラーは、まだまだプロットが甘いことが感じられる。

犯人が冒頭でわかってしまうというのに、「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」的なものではなく、そのまま謎解きをさせようとしてくるのだから、もう一発何かどんでん返しがあると思いきや、何もなく案の定な結末で終わるというスカしっぷりには驚かされた。

ただ、不慣れなりに二転三転させようとしている努力は感じられるだけに、あと数年でサスペンスやホラーもそれなりのものに仕上げてきそうなヴィジョンが見えなくもない。

監督は『燃えよスーリヤ!!』のヴァーサン・バーラーだが、脚本家としてヨゲシュ・チャンデカールも参加している。ヨゲシュといえば 『盲目のメロディ〜インド式殺人狂騒曲〜』の脚本家でもあり、同作におけるラストの畳み掛けが見事だっただけに、それを越えたものを見せてもらいたかった。

主人公がロボット工学のエンジニアという設定で名前がジャヤントだからなのか、実写版ジャイアントロボのTシャツを着ているのも印象的でもある。

ジャイアントロボはインドでも放送されていただけに、知名度がないわけではなく、主人公はちゃんとジャイアントロボとして認識しているということだ。ガンダムやマクロスじゃないところが、また渋い!!

点数 80

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