作品情報
ウィーン郊外のカトリック系の寄宿学校を舞台に、教義の重要さが失われつつある現状にあがなうヒロインを描く。監督は『モニタリング』(17)のルート・マダー。ロカルノ映画祭コンペティションで上映。
『セルヴィアム―私は仕える―』レビュー
カトリック系の寄宿学校を舞台としたコメディ…..ではあるが、オープニングが『オーメン』や「死霊館」シリーズのような悪魔を扱ったような、不穏度MAXな音楽で始まる。
教義を鼻くそほじりながら聞いている少女が主人公。(鼻をほじっていること自体もおかしいが….)
彼女はキリスト教だろうが、カトリックだろうが関係なく、神だとか信仰をめんどくさく思っていて、何も信じていない。一方で、極度なほどに信仰心をもった少女もいる。
シスターは、どちらも間違ってると思いながらも、それをどう間違っているのかを明確に回答ができない。自分自信も何のために神に仕えているのかを思えば思うほど、わからないからだ。
とりあえず親が、とりあえず上司が、そうあるべき、こうあるべきという概念のもとで生きてきたから、無条件に神に仕えることに疑問を持ってこなかった。それが自然で普通だと思っていた。
しかし、両極端な少女が現れたことで、改めて考える機会が強制的におとずれたこで、苦悩する若いシスターの姿も描かれる中で、少女たちの視点からは、そんなシスターの考えがわからず、極端に恐ろしいもののように見えている。
そのギャップと、少女とシスターの戦いを描いたコメディが基盤としてありながらも、中盤か後半になるにつれて、どんどんホラーに向かっていく。
あり得ない話ではなく、いつ起きてもおかしくない物語であるから、逆に飛びぬけた設定のホラーよりも、数倍恐ろしいのだ……。
点数 80
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