作品情報
ワン!と鳴けない保護犬・ハウと、ちょっぴり気弱な青年・民夫。 “1匹と1人”は最高に幸せな時間を過ごしていたが、 ある不運な偶然が重なり、離れ離れになってしまう。 民夫への愛情をひと時も忘れず、ひた走るハウ。 果たしてハウは大好きな民夫と再会できるのか? そして、民夫とハウに訪れる“優しすぎる”結末とはーー?
『ハウ』レビュー
「犬映画」でよくありがちな、世界共通の犬が急にどこかに行ってしまう犬ロードムービーではあるし、安定感のある、そこそこな感動シーンはある。
といっても、動物や子どもというキラーコンテンツであれば、大抵の作品はそうだ。逆にそこに手を出すということは、それ以上のものが求められる。
特に今作の監督の犬童一心は、『猫は抱くもの』『グーグーだって猫である』と過去に動物ものを扱ってきているが、どれも不発に終わっている。短編集の『いぬのえいが』程度が丁度いいのだ。
なぜ上手くいっていないかというと、それは悪い部分というか、監督の特徴がすごく出てしまっていること。
動物の可愛さだけで押し通せると油断しているのか、今作でも中だるみが凄い。
結局、ロードムービーにすることで、そこで出会う人々との短編集みたいになってしまっているし、ひとつひとつのエピソードが薄く、場をもたせることがでていないのだ。
そして何より、「こういう物語なら感動するでしょ」というのがミエミエなのだ。
観客はバラエティ番組やYouTubeの動物映像を観に来ているわけではなくて、映画を観に来ているのだから、作品として成り立ったものにしてもらいたい。
短編集みたいにして、尺を使ってしまったことで、ハウと民夫の絆がいまいち構築しきれておらず、インスタント感がしてしまうのも難点。今回のテーマのひとつは「絆」のはずでは??
あと田中圭に頼るのはやめてもらいたい。近年の作品で、内容だけでは押し通せないものに、やたら田中圭を投入してくるし、その中で合っているものもあるが、今作においては完全にミスマッチだ。
結婚する予定だった相手に逃げられてしまい、孤独感を抱えた男という設定なら、田中圭じゃなくて、もっと合う俳優がいるはずだ。
田中圭が出てるから、池田イライザが出てるから安心でしょ……という制作サイドの裏が表に出てきてしまっている。
点数 70
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