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この映画語らせて!ズバッと評論!!『ぜんぶ、ボクのせい』ただ愛情と希望を求めた少年が行き着くのは、残酷な結末?!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ぜんぶ、ボクのせい』ただ愛情と希望を求めた少年が行き着くのは、残酷な結末?!!

作品情報

児童養護施設で母の迎えを待ちながら暮らす優太(白鳥晴都)。ある日、偶然母の居場所を知った優太は、会いたい一心で施設を抜け出した。しかし、そこにいたのは同居する男に依存し自堕 落な生活を送っている母だった。絶望した優太は、当てもなく海辺を歩いていると、軽トラで暮らすホームレスの男・坂本(オダギリジョー)に出会う。何も聞かず自分を受け入れてくれる坂本。二人は わずかな金銭を稼ぎながら寝食をともにする。裕福な家庭に育つも、家にも学校にも居場所がない少女・詩織(川島鈴遥)とも顔見知りになる。優太は、自分と同じ寂しさを抱えながらも心優しい詩織に 惹かれていく。しかしそんな穏やかな日々もある事件によって終わりを告げる―

『ぜんぶ、ボクのせい』レビュー

施設で育ち、親の愛情を知らない優太が、微かな記憶を辿って母親を訪ねて行ったものの、そこには絶望が待っていた……。

全てが闇につつまれそうな視界の前に、オダギリジョー演じるホームレスの男に出会ったことで、怪しくも胡散臭いながらも、根本にある優しさに心を許していく。 さらに、恵まれた家庭環境ながらも疎外感を感じ続けている詩織と何か共通するものも感じたりと、そんな周りの人々とも関係を築き、すぐに崩れ去りそうながらも、優太なりの居場所を見つけていった。

世間から見ればおかしな関係かもしれないが、愛情を知らない優太にとっては、自分を捨てて、さらにまた捨てた実の親よりもかけがえのない関係だった。

多くは望まず、ただこのままでいいと思っていた矢先、優太を絶望に突き落とすような出来事が起こってしまう。

ただ、前を向いて生きていきたいだけなのに……。

タイトルの「ぜんぶ、ボクのせい」というのは、監督が言うには、何か不都合なことや問題が起きた場合、人は他人のせいにしがちだが、それを全部自分のせいだと受け止めることで、優太には新たな希望が見えるのではないか…….。というようなコメントをしているのだが、それはどうだろうか。

つまり、優太にとって「ぜんぶ、ボクのせい」というのは、親の愛情を求めたこと、知り合った人たちとの幸せを望んだこと、そして最終的には、自分が生まれてきたことを指しているからだ。

大人ならまだいいかもしれないが、さすがに子どもにそんなこと言わせたくないし、言わせるような世界ではいけないのではないだろうか。もし言ったとしても「そんなことないよ」と言ってくれる大人がこの世界には必要だ。

そんな大人たちが欠如した世界を観ているようで、監督のメッセージ性には反して、非常に残酷な結末にしか思えなかった。

点数 83

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