ラジオ番組「バフィーの映画な話」Spotifyなどで毎週配信中!!
この映画語らせて!ズバッと評論!!『トップガン マーヴェリック』トニー・スコットの想いを胸に、トム・クルーズのドヤ顔……ついに極まる!!

作品情報

アメリカのエリート・パイロットチーム“トップガン”。しかし彼らは、ベスト・オブ・ザ・ベストのエースパイロット達をもってしても絶対不可能な任務に直面していた。任務成功のため、最後の切り札として白羽の矢を立てられたのは、伝説のパイロット“マーヴェリック”(トム・クルーズ)だった。記録的な成績を誇る、トップガン史上最高のパイロットでありながら、常識破りな性格と、組織に縛られない振る舞いから、一向に昇進せず、現役であり続けるマーヴェリック。なぜ彼は、トップガンに戻り、新世代トップガンと共にこのミッションに命を懸けるのか?大空を駆け抜ける興奮、そして“胸熱”な感動がここに!スカイ・アクション最新作がついに公開!

『トップガン マーヴェリック』レビュー

映画『トップガン』の続編企画が立ち上がったのは、実は36年前。それまでに紆余曲折あった……。ハリウッドの続編ブームとなった2000年代にも、企画は具体的に動き出してはいたものの、なかなか実現にはいたらず、トニー・スコットも自殺してしまい、さらには新型コロナによる度重なる公開延期などのトラブルなども重なり、もはや絶望的とまで思われていた『トップガン マーヴェリック』がようやく公開されたというだけでも喜ばしいことではないだろうか。

良くも悪くも、まさに続編映画のお手本といった感じの作品に仕上がっており、ここぞとばかりに「このシーンが観たかったんだろ!」「この音楽が聴きたかったんだろ!」「このフラッシュバックは泣かせるだろ!」とスクリーンを通して、サブリミナル的な訴えかけてくることに関しては癪にさわる部分はあるものの、悔しいことに、実際にみんなが欲していたシーンを見せてくれているというのは、見事というべきだろう。

企画段階といっても、今作の企画は大量に存在しているのだが、トム・クルーズはサブとして、若手を育成するというプロットだったはずだし、実際に今作の全体的な構成もそうなっている。しかし……あの展開は、同じく若手育成というプロットから大幅に変更になった『ロッキー・ザ・ファイナル』のように、「結局、あんたか!」と、多くの人がズッコケたのではないだろうか。

何と戦っているのかがわからないという点では、明確な敵が描けないという問題が邪魔をしているようにも感じられたが、かえって敵側に何の感情移入もさせないことで、視点が迷子になることがないのは娯楽作ならではといったところ。

手放しで評価できるかというと、いろいろとツッコミ所はあるものの、娯楽作だから許容範囲内であるし、トム・クルーズという俳優を知っていると、仕方ないと納得してしまう。

それはメタ的な視点も活かされているからだ。

トム・クルーズという俳優は、日本ではトップスターとしてのイメージが強いかもしれないが、アメリカにおいてはかなり変人として扱われている。

サイエントロジーという新興宗教の信者であるというカルト的な印象もあるが、近年は、かつてのジャッキー・チェンのような命がけのスタントへのストイックさが、より変人度を際立たせている。先日解禁となった『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』の予告でも崖からバイクでダイブするシーンなど、正気とは思えない。

一時期は、オプラ・ウィンフリー・ショーでの奇功問題や暴露本などの影響で、変人の極みのような時代に苦しんだこともあった。しかし、最近は徐々に名誉挽回といったところの本作は、トムにとって大きな意味があったに違いない。

ラストで見せるドヤ顔からは、「オレがサブに回るわけがないだろっ!!」というハリウッドへのメッセージを感じられた。作中で結局、マーヴェリックにはかなわないという流れも、「ミッション:インポッシブル」シリーズで若手が育たない、育てさせないことにも通じて、やっぱりトム・クルーズはトム・クルーズなんだと感じるしかなかった……

点数 82

(C) 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

この映画語らせて!ズバッと評論!!カテゴリの最新記事