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この映画語らせて!ズバッと評論!!『犬王』人間の欲望によって人生を奪われたふたりによる和テイスト・ロック・ミュージカル!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『犬王』人間の欲望によって人生を奪われたふたりによる和テイスト・ロック・ミュージカル!!

作品情報

室町の京の都、猿楽の一座に生まれた異形の子、犬王。周囲に疎まれ、その顔は瓢箪の面で隠された。 ある日犬王は、平家の呪いで盲目になった琵琶法師の少年・友魚と出会う。名よりも先に、歌と舞を交わす二人。 友魚は琵琶の弦を弾き、犬王は足を踏み鳴らす。一瞬にして拡がる、二人だけの呼吸、二人だけの世界。 「ここから始まるんだ俺たちは!」 壮絶な運命すら楽しみ、力強い舞で自らの人生を切り拓く犬王。呪いの真相を求め、琵琶を掻き鳴らし異界と共振する友魚。乱世を生き抜くためのバディとなった二人は、お互いの才能を開花させ、唯一無二のエンターテイナーとして人々を熱狂させていく。頂点を極めた二人を待ち受けるものとは――? 歴史に隠された実在の能楽師=ポップスター・犬王と友魚 から生まれた、時を超えた友情の物語。

『犬王』レビュー

© “INU-OH” Film Partners

ディフォルメでありながら、人間の不細工な部分を容赦なく描くことで、人間味を持った独特のキャラクターに仕上げる松本大洋がデザインを担当していることもあって、やはり今回も魅力的なキャラクターが多く登場する。

目の見えない男と異形の男が出会い、音楽によって友情と絆を深めていく物語。人間の欲望によって運命が変わってしまったふたりが出会うことで、互いに高め合い、成長し、純粋に音楽に身を任せることで、呪いのように付きまとっていた欲望が浄化されていく様子を和テイストのロック・ミュージカルで描いていく。

当時では斬新すぎたり、国への批判的思想の抑圧、そして時代が故に受け入れられなかった音楽性などによって、目の敵にされてしまうなど、20世紀のアーティストが通ってきた偏見と差別の道を室町時代に置き換えて描いているのも特徴的だ。

世間から見捨てられたふたりが、世間を魅了していく過程においては、一定のカタルシスも感じるだろう。

それでいて舞台は室町でありながら、トリップ映像のようなミュージカルシーンが、ミスマッチとベストマッチの中間的なものとなっていて、クセになる。

物語自体はシンプルなだけに、いかにミュージカルシーンを楽しめるかどうかが評価の分かれ目ともいえる。海外では和テイストのミュージカル、しかもアニメというだけで注目は集まりそうだが、果たして日本でその効果がどこまで期待できるかは……難点かもしれない。

点数 79

© “INU-OH” Film Partners

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