作品情報
ジャブローでの防衛戦を耐えきった地球連邦軍は勢いのままにジオン地球進攻軍本拠地のオデッサを攻略すべく大反攻作戦に打って出た。アムロ達の乗るホワイトベースは作戦前の最後の補給を受ける為にベルファストへ向け航行。そんな中ホワイトベースにある任務が言い渡される。無人島、通称「帰らずの島」の残敵掃討任務。残置諜者の捜索に乗り出すアムロ達であったが、そこで見たのは、いるはずのない子供たちと一機のザクであった。戦闘の中でガンダムを失ったアムロは、ククルス・ドアンと名乗る男と出会う。島の秘密を暴き、アムロは再びガンダムを見つけて無事脱出できるのか…?
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』レビュー
『機動戦士ガンダム』の第15話「ククルス・ドアンの島」をリメイクし、拡張したサイドストーリー。物語最中のエピソードを切り取っているだけに、各キャラクターの詳細やバックボーンなどは、当然のように描かれない。
メインとなるのは、今回登場するククルス・ルアンの物語であることから、特別な知識がなくても問題はないが、より楽しむには、ある程度の知識はあった方が良いだろう。
アムロとブライトだけは辛うじて、アムロが両親の幻影に苦しむ様子や、第9話でアムロを殴ったことへの罪悪感などが描かれているが、各レギュラーキャラクターの心情やククルス・ドアンの元同僚とのドラマ部分は無いに等しく、戦争とはいえ、人を殺すことへの葛藤は、なかなかあっさり塩味に描かれている。
テレビ放送版の印象では、ドアンと一緒に生活している戦争孤児の中には、ドアンがジオン兵時代に殺してしまった両親への償いの気持ちがあったように感じられるし、本作の中でも少しそういった部分が描かれている。
子どもの中に、明らかに該当する子どもがいるが、その子との間に、償いの気持ちというのが感じられず、子どもたちがドアンが過去にしてしまった過ちの真実を知ったら、どういった反応をみせるだろうか…….という、人間ドラマとしては、非常にアレンジしやすい部分をスルーしてしまっているのが残念でならない。
テレビでは尺の問題があって描けないサイドストーリーを描いているというのに、一番描くべき部分を見落としているようにも思えるのだ。
そもそもオリジナルアレンジが多いこともあって、テレビシリーズとそのまま直結するには不具合がある構成になっているし、この後のエピソードを続けて映画化していくわけではないのだから、独立した物語として、もっと冒険した描き方をしても良かったのではないだろうか。変に守りに入ってしまっている。
「ガンダム」シリーズは、ロボットアニメというより戦争アニメというべき作品。よく考えてみたら、実写の戦争映画でも「〇〇作戦」のように、〇〇戦争の中の作戦だったり、事件を抜粋して映画化しているだけに、こういった切り取り方自体が戦争映画としての側面を強調しているようにも感じられる一方で、このテイストなら、無限に作れてしまう気がしてならない。
点数 80
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