世界最高の名門歌劇場「英国ロイヤル・オペラ・ハウス」で上演されたバレエ・オペラの舞台と特別映像をスクリーンで体験できる
人気シリーズの最新作『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2021/22』より、3作目はロイヤル・バレエ『ロミオとジュリエット』が4月8日(金)から4月14日(木)まで全国公開。
シェイクスピアの普遍性と先進性、さらに、本作の見どころを、舞踊評論家・森菜穂美氏が徹底解説!
4月8日(金)より公開となる本作は、1965年に初演されて以来、世界中で現代の偉大な古典作品と評価されているケネス・マクミラン振付の『ロミオとジュリエット』。
英国ロイヤル・バレエではこれまで530回以上も上演され、今なお新鮮さを失わない、英国ドラマティック・バレエの最高峰といえる作品。
実は2022年の今年、日本のバレエ界では『ロミオとジュリエット』の当たり年。
K-Ballet Company、東京バレエ団、松山バレエ団、NBAバレエ団と上演が続きます。映画界では『ロミオとジュリエット』を下敷きにしたミュージカル映画の金字塔『ウェスト・サイド・ストーリー』が公開され、アリアナ・デボーズがアカデミー賞助演女優賞を受賞し、話題を呼んだ。
400年以上前に生まれたシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』がなぜ、今も多くの人々に支持されるのだろうか?
森氏は「そこには、今だからこそ心に響く普遍的なメッセージがあるからです。二つの名家の争いは、ロシアとウクライナの紛争に見られるような、今も絶えない国際紛争や、Black Lives Matterに象徴される人種差別や貧富の差、格差による分断を象徴するように感じられる。憎しみの連鎖がより大きな悲劇を生み、無垢だったはずの若者が悲劇を迎えてしまうことで争いの虚しさを伝えています。」と解説。続けて、「もう一つ忘れてはならないのは、ジュリエットの描き方です。ジュリエットは14歳と少女の設定ですが、たった一人で家の権威に立ち向かい、両親の意思に反して愛を貫く決意をして勇気ある選択をします。このような強いヒロイン像が400年以上も前に生まれたことに、シェイクスピアの先進性を感じます。」と語る。
さらに、マクミラン振付の魅力を、「時に雄大で時に繊細、ドラマティックで華麗な旋律が心を揺さぶるプロコフィエフ作曲による音楽と、3つのパ・ド・ドゥの振付の巧みさとの一体化です。さらに、3幕で窮地に追い込まれたジュリエットが、バレエダンサーにも関わらずベッドの上にただ座り、身動きもせず、ただ前を見据えるシーンは屈指の名場面。」とし、本作で主演を演じた、アナ=ローズ・オサリバンと、マルセリーノ・サンベの演技を絶賛。
昨年プリンシパルに昇格したばかりのジュリエット役・アナ=ローズを、正確なテクニックと音楽性に加え、ナチュラルでデリケートなニュアンスを演技によって伝えられるニューヒロインと評し、ロイヤル・バレエでは史上2番目の黒人男性プリンシパルとなるマルセリーノについては、彼の天性の身体能力から導き出される超絶技巧とリズム感を高く評価した。
続けて、「このシネマシーズンでは、生の舞台の興奮を楽しめますが、特にドラマ性が高い『ロミオとジュリエット』は、出演者の顔の表情のクローズアップも要所で登場し、生の舞台では得られない体験もできます。幕間のインタビューやリハーサル映像も見どころのひとつ。名ジュリエットの一人であるリャーン・ベンジャミンと、先日引退し指導者になったエドワード・ワトソン、二人の元プリンシパルによる生のトークも興味深くファンには見逃せません。」とコメント。
現代に通じる普遍的メッセージと、比類なき疾走感と高揚、常識を覆すようなマクミランによる振付、さらに、次世代を代表するフレッシュなダンサーたちが圧倒的な表現力で演じる、英国ロイヤル・バレエ『ロミオとジュリエット』がいよいよ日本で公開となる!
© 2019 ROH. Photograph by Helen Maybanks
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