作品情報
天才医師マイケル・モービウス(ジャレッド・レト)。彼は幼いころから血液の難病を患っていた。同じ病に苦しみ、同じ病棟で兄弟のように育った親友のマイロ(マット・スミス)の為にも、一日も早く、治療法を見つけ出したいという強い思いからマイケルは実験的な治療を自らに施す。それはコウモリの血清を投与するという危険すぎる治療法だった。彼の身体は激変する――全身から力がみなぎり隆起した筋肉で覆われ、超人的なスピードと飛行能力、さらには周囲の状況を瞬時に感知するレーダー能力を手にする。しかし、その代償として、抑えきれない“血への渇望”。まるで血に飢えたコウモリのように。自らをコントロールする為に人工血液を飲み、薄れゆく<人間>としての意識を保つマイケルの前に、生きる為にその血清を投与してほしいとマイロが現れる。懇願するマイロを「危険すぎる、人間ではいられなくなる」と拒み続ける、マイケル。しかし、NYの街では、次々と全身の血が抜かれた殺人事件が頻発する――
『モービウス』レビュー
今作、完成がギリギリで試写自体が公開週ギリギリに行われたこともあり、都合が合わず、久しぶりにマーベル映画を映画館で観た。
科学や医療への探求から、足を踏み外すという点が、まさにご近所トラブル感満載のスパイダーマン・ヴィランらしさがあって良かったという印象と、これは日本の仮面ライダーやウルトラマンにも言えることではあるが、どうしても『アベンジャーズ』や『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』など、キャラクター大集合ものをやってしまった後に公開されるソロ作品という重圧の中で、なかなか健闘した方ではないだろうか。
全体的に地味な感じは仕方ないとして、マルチバース設定を無駄に多様するよりも、シンプルな物語としてのクオリティは高く、同じ力を手に入れてしまった2人の方向性の違いなど、人間の本質が浮き彫りにされるといった、ヴァンパイアものによくありがちな鉄板ネタも多く敷き詰められていて、何より、一時期『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のリブート版に出演するともいわれていたジャレッド・レトだけに、ヴァンパイア役が良く似合う。
近年の『スーサイド・スクワッド』のジョーカーや『ハウス・オブ・グッチ』のパオロ・グッチようなコスプレ姿と比べれば、割とジャレッドの素顔寄りのキュラクターながら、カメレオン俳優という印象を確かに感じさせる。そういった点からも、クリスチャン・ベイルと肩を並べるほど、やりすぎ役作り俳優感は健在。
今回予告の段階では、ヴィラン兼ダークヒーロー的な扱いとして、戦うにしても警察やギャング程度といった、基本的には、モービウスの独擅場で、1本の映画を通して、じわじわと精神的な葛藤が描かれるのかと思っていた。
しかし、しっかりと、変身しなくても、悪人顔の11代目ドクター・フーであるマット・スミス演じるマイロとの対決アクションによって、空気の流れを作ることで飛ぶことができることや、エコーの使い他など、コウモリの特性を活用したエフェクトを存分に見せつけるものとなっている。
全体的なバランスとしては、SSU前2作『ヴェノム』『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』よりも、上手くまとまっている。
今作、もともとは『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』よりも前に公開される予定だったこともあり、大きく作り直した部分を多く感じられるのも事実。もし公開延期がなかったら、どういった展開になっていたのだろうか……
点数 80
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