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この映画語らせて!ズバッと評論!!『THE BATMAN-ザ・バットマン―』とことん拘ったリアル感!カッコ悪さがカッコいい!!

作品情報

優しくもミステリアスな青年ブルース。両親殺害の復讐を誓い、悪と敵対する存在“バットマン”になって2年が過ぎた。ある日、権力者が標的になった連続殺人事件が発生。その犯人を名乗るのは、史上最狂の知能犯リドラー。彼は犯行の際、必ず“なぞなぞ”を残し、警察や世界一優秀な探偵のブルースを挑発する。最後のメッセージは「次の犠牲者はバットマン」。彼はいったい何のために犯行を繰り返すのか?そして暴かれる、政府の陰謀とブルースにまつわる過去の悪事や父親の罪…。すべてを奪おうとするリドラーを前に、ついに彼の良心が狂気に変貌していく―。

『ベルファスト』レビュー

完全にDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)からは分離、他のDCヒーローやメタヒューマンの存在を排除したことで、かえって固定されたヒーロー像から離れることができたのだろう、フランク・ミラーの描く自警的バットマンのようでもあり、ノワール的な要素を強調している。クリストファー・ノーラン版もフランク・ミラーテイストを大切にしていたが、より強調したものとなっている。

ゾディアック事件が下敷きとなっているからか、雰囲気としては、明らかにデヴィッド・フィンチャーの香りが漂う。バットマンとゴードンのバディは、『セブン』に通じるものもある。

バットマンとゴードンとの信頼関係がすでに構築されており、その間には2年という期間が経ていることも明らかとなった。すでにHBO Maxでの配信が決定している、ゴードンのスピンオフは、そこに焦点が当てられるのかもしれない。バットマン誕生秘話を今更描くこともないと開きおなっているし、もしやるにしてもHBO Maxが付いているというバックサポートがしっかりした安定感からか、様々な奥行きを感じさせるキャラクター構築は、観ていて飽きない。

今回徹底しているのが、リアル感だ。いくらお金持ちだかりといって、作り出せるものには限界がある。アイアンマンや過去のバットマン、ノーラン版バットマンにいたってもそうだ。

マスクは手作り感が漂い、飛び方も非常にカッコ悪い。それでいて着地も失敗する。体はアザだらけだ。ノーラン版では、アニメとして制作された中間エピソード『バットマン ゴッサムナイト』で、悟りのようなものでダメージを軽減しているような設定が語られていたが、今回は普通に痛々しい。

何よりティム・バートン版のバットモービルは、デザイナーのテリー・オークランド・スノーを起用して作り上げたスタイリッシュなものだったが、今回のバットモービルは過去作と比べて、かなり歪だ。魔改造された、ただのボロ車にも見える。

しかし、それが良いのだ。ゾーイ・クラヴィッツ演じるキャットウーマンなんて女ねずみ小僧だが、それこそがリアルなのだ。カッコ悪さの中にあるカッコ良さを極限まで引き出した成功例だ。

ブルース・ウェインが日中にあまり行動しないことから、肌が白く、顔色も悪く、体調が悪そうだ。

日陰がさしたときに目を背ける表情……ここで気づいたのは、「トワイライト」のエドワードを観て、ロバート・パティンソンが選ばれたのだろうということだった。

点数 88

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