この映画語らせて!第3回『フロントライナー』

作品紹介

『グレイテスト・ショーマン』『X-MEN』シリーズのヒュー・ジャックマンが、スキャンダルにより失脚した実在の政治家ゲイリー・ハートを演じるドラマ。監督は『マイレージ、マイライフ』『JUNO ジュノ』でアカデミー賞にノミネートされたジェイソン・ライトマン。1988年アメリカ大統領選挙。ゲイリー・ハート上院議員は、史上最年少の46歳で民主党の大統領候補となり、予備選で最有力候補として一気に躍り出た。その若さからジョン・F・ケネディの再来と称され、大衆からも愛されていたハートの状況を一変させる出来事が起こる。アイアミ・ヘラルド紙の記者が入手したハートに関する「ある疑惑」。このスキャンダルが一斉に報じられたことで、ハートの支持率は急落し、予備選の当落線上から姿を消すことになってしまう。

レビュー(ネタバレあり)

中身が良ければ不倫も許される?

『ゴーストバスターズ』の続編の製作を発表したことで、2016年公開の女性版『ゴーストバスターズ』の関係者から反感を買っているジェイソン・ライトマンと『グレイテスト・ショーマン』のヒュー・ジャックマンが初タッグを組んだ作品。

大統領最有力候補となった、ゲイリー・ハート。彼がもし大統領になっていたら、どんな未来だったのだろう。

女性スキャンダルによって崩れ行く名声と夢...そして国を改革するという使命感。

問題点としては、ゲイリー・ハートという人物がいかに国の未来について考えていたのかということが薄れてしまっていること。どうても不倫していたことに焦点があたってしまって、彼がどんな政治家なのかがわからなくなってしまうのだが...実はそこがこの映画の描きたいところ!!

この映画は単にスキャンダルによって失脚した男の伝記映画ではなく、今の時代で考えると、同じ様に不倫スキャンダルなんて記事が出ようものなら、すぐに拡散して攻撃の的となるに違いないが、当時のアメリカにおいて、不倫スキャンダルがそこまで足を引っ張るものではなく、公約や中身が良ければ一時的なもので回避できるものであると考えられていたことに問題があった。過去の政治家なんて不倫しまくってた…なんて甘い考えによる失態。

というのもこの映画の舞台となる1980年代後半は、そんな今までの政治に対する報道に徐々に変化していった時期でもあった。

より戦略的に、よりマスコミ受けを考えて選挙を勝ち進まなければならない。いかにメディアの力が選挙に左右するかという現代の考え方に代わるきっかけとなった出来事なのかもしれない。

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記者パーカーからの視点

もうひとつの視点。それはジャーナリズムの真意を問うもの。

この映画の主人公はゲイリー・ハートのほかにママドゥ・アティエ演じる記者のパーカー。

取材でゲイリー・ハートの近くにいたパーカーは、ゲイリーの人柄やアメリカの未来を想う心に感銘を受ける。しかし、出てしまった不倫報道。ゲイリーの本質を知るからこそ他のマスコミと同じように報道したくないという気持ちとは裏腹に、手にしてしまった情報を世間に公表するというジャーナリストとしての役割の間で葛藤する。

もっともっともがいて、負けたっていいから選挙に出て、何としてでもアメリカの大統領になる!っていうハングリー精神が薄い感じがするが、自分の家族が報道陣によって生活が脅かされていると現実から、ゲイリーの家族を想った行動だったこと。仕事で家族につらい目にあわせてしまったゲイリーなりの決断なのだろう。その決断が結果的に家族を守り、今も夫婦生活が続いている。

家族を守れない者がアメリカの国民を守れるのか…ということなんだろう。

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もう少し世間の声が欲しかった

この映画で描かれるのは、あくまで選挙戦に挑むチームとジャーナリストたちばかりで、肝心な世間の声が反映されていないことが残念だった。

アメリカ国民が不倫騒動についてどう思っているのか、ゲーリー・ハートについてどう思っているのか...そこを知りたかった。

ジャーナリストや選挙スタッフ内だけではなく、外部からの意見がゲイリー・ハートという人物像を固める材料としてもよかったのではないだろうか。

まだ政治家としてやれることがあったはずなのに...というどかしさが足りない。

実在の政治家を元にした作品

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『ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズ』

この作品は同じく、スキャンダルによって、政治生命の危機となりながらも自分を信じて戦い続けた男・アンソニー・ウィナーを追ったドキュメンタリー映画。

アンソニー・ウィナーは人気もあり、当選確実という中で報道されたスキャンダル。ヒラリー・クリントンの元側近という奥さんまで巻き込んで汚名返上とハードルの上がり過ぎた選挙を戦う様子を描いている。

『ジャッキー ファーストレディ最後の使命』

ジョン・F・ケネディの暗殺後、劇的に動くホワイトハウス内部で困惑するケネディの妻ジャクリーン・ケネディことジャッキー。事態はどうであれ、大統領不在となり、代理の人物を探すと同時に自分はファーストレディではなくなったことから、ホワイトハウスを出なくてはならない...子供はどうする?夫の葬式はどうする?とジャッキーに立て続けに投げかけるられる試練の数々を描いた作品。ジャッキー役・『ブラックスワン』のナタリー・ポートマンの熱演も光る。

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