作品情報
「キラキラな恋がしたい！」サークルや恋愛など、普通の大学生活に憧れていた都留たまき（CV.堀田真由）。ひょんなことから渋々体育会航空部に入部することになった彼女であったが、主将である倉持潤（CV.島﨑信長）の操縦するグライダーで《空》へ飛び立った瞬間から、その世界に魅了されていく。 その先で直面する過去のトラウマ、未来への不安に対し、 先輩の空知（CV.榎木淳弥）や仲間と共に向き合い、もがきながらも前へ進もうとしていく。 果たして《空》に恋した彼女たちは“幸せになれる風＝ブルーサーマル”を捕まえることができるのかー。
『ブルーサーマル』レビュー
土屋太鳳主演映画『トリガール!』にキャラクター配置が非常に似ているのだが、原作がこちらの方が早いため、逆にこちらが本家というべきだろうか。
グライダーという題材は特殊性があるものの、プロット自体は王道のサクセス・スートリーであって、それがスポーツであろうが、ダンスなのか……というだけという話なだけで、一定の安定感とカタルシスはある。
ただ、どうしても映画にしたことが正解かというと、正直疑問が残ってしまう。というのも、明らかに尺的な問題で描き切れていない部分が多い。
もしくは、原作が打ち切りになっていることもあって、そのあたりがあやふやなのかもしれないが、キャラクター同士の関係性だったり、過去の描き方が、全体的にざっくり、ふんわりしてしまっている。
例えば、主人公は体育会系のノリに少しトラウマを抱えているという設定だが、それを乗り越える描写が明確に描かれていなかったことや、主人公の姉との関係性に不明な点が多いこと、恋愛要素のもわもわ感など、1本の映画として、まとめ切れてない。力業も目立つといったところ。
とはいえ、グライダーバトルのシーンは、感動できることは間違いないだけに、キャラクター描写をざっくりとして、捨てるかたちでグライダーシーンに力を入れたといえば、尺的な問題からすれば、正解とも思える。
だからこそ、映画にしたこと自体に疑問が生じてしまう。つまり、連続アニメシリーズとして、バランス良く丁寧に描いていれば、総合的に良い作品になったと思うのだ。
酷い作品というより、映画尺でまとめてしまったことが残念という印象が残る……
点数 76
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