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この映画語らせて!ズバッと評論!!『悪魔のいけにえ -レザーフェイス・リターンズ-』続編でなければ良かったのに……1作目との距離感を間違えている!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『悪魔のいけにえ -レザーフェイス・リターンズ-』続編でなければ良かったのに……1作目との距離感を間違えている!!

作品情報

レザーフェイスが姿を消して約50年。テキサスの人里離れた町を、理想に燃える若者たちが訪れる。だが彼らは知らなかった。そこにはあの悪魔が人知れず息をひそめていることを。血の惨劇がふたたび蘇る。 キム・ヘンケルとトビー・フーパーが生み出した伝説のキャラクターをもとに、原案フェデ・アルバレスとロド・サヤゲス、脚本クリス・トーマス・デヴリン、監督デヴィッド・ブルー・ガルシアで贈る『悪魔のいけにえ』最新作。

『悪魔のいけにえ -レザーフェイス・リターンズ-』レビュー

『悪魔のいけにえ』といえば、正統な続編として13年後を舞台とした『悪魔のいけにえ2』が存在しているのだが、コメディ要素が強すぎて好き嫌いが極端に分かれる作品だった。今作はそれをなかったことにしようという、『ハロウィン』『ターミネーター:ニュー・フェイト』同様のリブートスタイルではあり、それ自体を否定するつもりもないが、1作目の続編としては、いくつか設定的に成り立たない要素も多い。

まずレザーフェイスことババ・ソーヤーの年齢が一致いない。明確に同一人物として紹介されないこともあり、そもそもババ・ソーヤーであるのか、もしくは概念として受け継がれた狂気としての存在なのかは不明。

同一人物とすると、1973年の時点で、おそらく20歳前後であったサリー・ハーデスティが老婆になっており、現代が舞台となっている時点で少なくとも70歳。ババ・ソーヤーも近い年齢になるはずだ。

明確に素顔が映るシーンがないことから、もしかしたら老人なのかもしれない。今年70歳になるリーアム・ニーソンが、軽々とアクションをこなしているだけに、無いとは言い切れない部分もあるが……

施設を運営していた老婆を母親のように慕っており、その存在がレザーフェイスを狂気的殺意を抑えていたのだろう。それにしても40年もの間、狂気性を抑えていたというのは、かなりやり手なように思える。

好きだった相手の皮をはいで身に着けるという、レザーフェイスの原型となっている殺人鬼エド・ゲインの変態的要素をそのまま引き継いでいるが、「悪魔のいけにえ」シリーズを通してあった、純粋な少年としての女性に対しての憧れのような感情はあまりなくなっている。

ハロウィン』のジェイミー・リー・カーティスのように、何でも過去のヒロインを出せばいいというものでもないのだが、今作にも1作目の生き残りであるサリーが再登場するのも、当時演じていたマリリン・バーンズは、2014年に亡くなっていることもあり、全く違う役者が演じることもあって、そもそもサリーを出す必要性もなかったのではないかと思ってしまう。

『悪魔のいけにえ レジェンド・オブ・レザーフェイス』に出演していたレネー・ゼルウィガーでも出ていれば話は別だが、変に1作目と繋げようとするがあまり、逆に不自然になっている気がしてならない。

そんなサリーは、その後テキサス・レンジャーになって、レザーフェイスへの復讐に燃えていたらしいが、探そうと思えば探せたような距離にいたと思うのは私だけだろうか……。

それも灯台下暗し的なものと思えばいいかもしれないが、『悪魔のいけにえ2』のデニス・ホッパー並みに3丁チェーンソーで立ち向かって欲しかったところだ。

単純に現代が舞台となった、スマートなスプラッター映画として観れば良く出来ているが、続編という触れ込みがノイズとなってしまっていることからも、リブートでも、もう少し距離をとった方が良かった気がする。寄り添うなら寄り添うで、もっと変態にしないと意味がない。

また最近のホラー映画の風潮として社会問題を取り扱う作品が増えている。今作も同様に社会問題を組み込もうとしたのが凄く伝わってくる。寂れてしまった町をまるごと買い取って、セレブやパーティピーポーたちの遊び場にしようとする現代ならではの都市開発問題、これも一種のジェントリフィケーションが描かれているのだが、それも中途半端で失敗に終わっている。

過去に高校で発生した銃乱射事件の生き残りであるライラが、たびたびフラッシュバックされる自分の中のトラウマを消し去り、拒み続けた暴力性によって、銃を手にして戦う流れは『わらの家』や『KCIA 南山の部長たち』のようで良いものの、尺的な問題もあってなのか、かなり薄口に留まっている。

点数 75

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