ラジオ番組「バフィーの映画な話」Spotifyなどで毎週配信中!!
この映画語らせて!ズバッと評論!!『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』もはやアート的でないはずがない?!

作品情報

第74回カンヌ国際映画祭に正式出品され、上映後は約9分間もの熱いスタンディングオベーションで讃えられた、ウェス・アンダーソン監督最新作が遂に日本に登場!物語の舞台は、20世紀フランスの架空の街にある「フレンチ・ディスパッチ」誌の編集部。米国新聞社の支社が発行する雑誌で、アメリカ生まれの名物編集長が集めた一癖も二癖もある才能豊かな記者たちが活躍。国際問題からアート、ファッションから美食に至るまで深く斬り込んだ唯一無二の記事で人気を獲得している。ところが、編集長が仕事中に心臓まひで急死、彼の遺言によって廃刊が決まる。果たして、何が飛び出すか分からない編集長の追悼号にして最終号の、思いがけないほどおかしく、思いがけないほど泣ける、その全貌とは──?

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 』レビュー

レストランのウェイターが、紙に描いたような、平面的なビルを上っていく冒頭のシーンから心を鷲づかみにされる。

もはやウェス・アンダーソンの作品に、アート的だったり、おしゃれだったり……ということを、あえて言うことが自体恥ずかしいぐらい、当たり前として、作品のテイストとして取り込んでしまったことは、流石の一言。

今までも『グランド・ブタペスト・ホテル』や『ダージリン急行』『ライフ・アクアティック』など、短編のエピソードが、最終的にひとつの物語として集約されていくスタイルとして、雑誌はうってつけの題材とも感じられるし、ドラマシリーズとして展開しても、おもしろいのではないだろうか。

何も考えないで観られるような、バカバカしい話もありながら、鋭い社会風刺もあったりと、正に雑誌とそれを取り巻く記者たちという設定をフル活用していることは、ズルいと思わせる部分もあるほど。

これも毎度のお約束となっていることだが、どこを切り取っても、主役級のスターが出演している。お馴染みのビル・マーレイオーウェン・ウィルソンはもちろんのこと、ティモシー・シャラメレア・セドゥなどといった若手も、こぞってウェス・アンダーソンの作品に出演したいという意気込みが伝わってくるほど。

俳優たちの中で、ウェス・アンダーソンの作品に出演することは、ある種のステータスでもあるのだろう。

記者たちのシーンはカラーだが、記事のシーンではモノクロになる。これも雑誌の特徴を上手く利用している。

点数 81

この映画語らせて!ズバッと評論!!カテゴリの最新記事