『パイプライン』は韓国映画界で「初めて」盗油犯罪という題材を扱う作品だ。だからこそ、これを観客にリアルに見せるのが最も大きな目標だった。演出を担当したユ・ハ監督は「この作品に登場する空間や設備などは盗油作戦が実行される地下に存在するために、一般にはなじみがなく、見慣れない光景だろう」「これを観客に受け入れてもらえるよう共同溝、送油管などの制作において美術的な手法でリアリティーを出そうと努力した」と述べ、期待が高まる。
美術監督のイ・ミニは、「盗油」という題材をスクリーンに効果的に盛り込むために、ユ・ハ監督と何度も議論を重ねたという。そして「映画の中の空間に、全体のストーリーを貫くキーワードを溶け込ませたかった」「地下の下水溝には、石油という欲望が流れる巨大な川のようなイメージを与えたかった。
そして盗油作戦が進められる観光ホテルには、パラダイスと思いきや、地獄への入り口だという真逆のイメージを与えたかった」と述べた。単純なセットではなく、それ以上のキャラクター化されたセット制作に関心が高まっている。
また、よりリアリティーあふれるビジュアルを求め、実際のビニールハウスや古物商など多くの場所の土を掘って地下道のセットや送油管、下水溝のセットを造るなど、制作陣の苦労と努力の末に誕生した、前代未聞の演出に期待が集まっている。
本作では美術と同様に撮影もやはり重要な課題だった。特に地下道と下水溝のセットなど、狭く限定的な場所で撮影が進むために、これをダイナミックで奥行きがあるように表現するため多くの努力を傾けた。『バトル・オーシャン/海上決戦』、『七年の夜』など、多様な作品で活躍してきた撮影監督のハ・ギョンホは「限定された空間で多数の俳優たちが演技しなければならず、映画の統一感を考えた時、当然、手持ちカメラの技法が浮かんだ」「力強くも自由な画面にするのが重要なために、最大限多くのカットを素早く撮り、途中で精巧さが必要な部分を別途撮影した」と明らかにした。
また「韓国最高の穿孔技術者である“ピンドリ”が穿孔する作業を観客にリアルに見せるのがやはり大きな課題だった」「ドリルの刃が出入りする細いパイプ内を撮るのは一般レンズでは不可能なので、長い棒状のLaowa24mmレンズを使用して、立体的でダイナミックなカットを作り出すよう努力した」と述べ、期待を集めている。
監督:ユ・ハ 脚本:ユ・ハ、キム・ギョンチャン
出演:ソ・イングク、イ・スヒョク、ウム・ムンソク、ユ・スンモク、テ・ハンホ、ペ・ダビン
2021年/韓国/108分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/日本語字幕:福留友子/原題:파이프라인/英題:PIPELINE/映倫【G】区分
配給:クロックワークス
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2.4(fri.) シネマート新宿ほか全国ロードショー
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