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THE映画紹介:『X-MEN』人種やマイノリティへの差別をメタファーとして描いた原作のメッセージ性を引き継いだ!!

イントロダクション

1963年に誕生したマーベルコミックの「X-MEN」は、日本でもゲームやアニメ、翻訳コミックによって90年代に人気を博した。 そんなアメコミ界のビッグタイトルを『ゴールデンボーイ』『ユージュアル・サスペクツ』などで知られるブライアン・シンガーが実写映画化!主人公ウルヴァリンには、今ではトップスターとして知られるが、当時は舞台俳優としての知名度の方が高かったヒュー・ジャックマンが抜擢された。

ストーリー

突然変異によって誕生したミュータント。それを巡って人類は日々議論を交わしている。人類とミュータントは共存できると信じるプロフェッサーXことチャールド・エグゼビア率いる「X-MEN」だが、それに相反し、人類を服従させたいと目論むマグニートー率いるミュータントたちの戦いが始まろうとしていた中、過去の記憶を失ったウルヴァリンと、自分の能力に恐れた両親から逃げるように家を出てきたローグが出会い、行動を共にするが、彼らもミュータント。戦いの運命に導かれてしまうのだった……。

スタッフ・キャスト

監督 : ブライアン・シンガー『スーパーマン リターンズ』『ボヘミアン・ラプソディ』

脚本 : デヴィッド・ヘイター『スコーピオン・キング』『ウォッチメン』

出演 : ヒュー・ジャックマングレイテスト・ショーマン』『レミニセンス

パトリック・スチュワート『グリーンルーム』『チャーリーズ・エンジェル』

ジェームズ・マースデンソニック・ザ・ムービー』『ヘアスプレー

アンナ・パキンシーズ・オール・ザット』『スクリーム4: ネクスト・ジェネレーション』

ファムケ・ヤンセン『96時間』『アイ・スパイ』

タイラー・メイン『ハロウィン』『スコーピオン・キング』

イアン・マッケラン『シェイクスピアの庭』『キャッツ

レベッカ・ローミン『サタニックパニック』『ファム・ファタール』

ハル・ベリージョン・ウィック:パラベラム』『ザ・コール 緊急通報指令室』

レイ・パーク『G.I.ジョー バック2リベンジ』『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』

ショーン・アシュモア『ザ・ボーイズ』『マザーズ・デイ』

クレジット

撮影:トム・シーゲル

音楽 : マイケル・ケイメン

編集:ジョン・ライト

スティーヴン・ローゼンブラム

ケヴィン・スティット

2000年/アメリカ/カラー/104分

短評

このシリーズは言ってみれば、俳優人気によって、メインキャラクターに昇格できるか、扱い方がどうなるかが、かなり左右されていたのだが、それは1作目からも同じ。

今作でウルヴァリン役に抜擢されたヒュー・ジャックマンだが、当初はダグレイ・スコットやラッセル・クロウがウルヴァリン役をやる予定であった。ヒューは今となっては、トップスターのひとりではあるが、当時は舞台俳優としての知名度の方が強く、アクションスターとして印象は全くなかった。

しかし、ヒューの演じたウルヴァリンは、独特の魅力に包まれており、コミックの場合はサイクロップスが主人公のように扱われているものが多かったが、映画版「X-MEN」はウルヴァリンが間違いなく主人公と思わる要因は、ヒューによる功績であって、シリーズが存続できたのもヒューがいたからこそだ。

ブライアン・シンガーは、同性愛者であることから、人生の中で、自ら味わってきた、他者からの疎外感というものを、ミュータントという設定に反映させている。これは原作コミックのメッセージが人種やマイノリティへの差別のメタファーであることにリンクしており、今作を含め映画「X-MEN」シリーズの中で、メンタル的な部分を繊細に描いている作品は、ブライアンの影響が強く感じられる。

VFXの限界という時代的な問題もあるかもしれないしが、アクションよりもドラマ部分のメッセージ性を充実させようとしていたことで、アクション映画としては、平坦な作品となっており、ミュータント同士の迫力あるバトルを期待したアクション映画ファンやコミックファンからは不評な作品となってしまったが、多様性を扱った作品として観ると、味わい深い作品である

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