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THE映画紹介『ライリー・ノース 復讐の女神』ジェニファー・ガーナーの無駄使いが凄い!

THE映画紹介『ライリー・ノース 復讐の女神』ジェニファー・ガーナーの無駄使いが凄い!

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『ライリー・ノース 復讐の女神』

作品情報

ごく普通の妻であり母であった女性が、家族を奪われたことから自らを殺人マシーンとして鍛え上げ、壮絶な復讐戦に身を投じていく姿を描いたアクション。『96時間』『アルティメット』のピエール・モレル監督がメガホンをとり、『デアデビル』『エレクトラ』やテレビシリーズ『エイリアス』などで知られるジェニファー・ガーナーが主演を務めた。ロサンゼルスの郊外で夫と娘と3人、平凡ながらも幸せに暮らしていたライリー・ノース。しかし、ある日、麻薬組織の犯行によって家族の命を奪われた彼女は、どこへともなく姿を消す。それから5年後、復讐のため再びロスの街に舞い戻ってきたライリーは、警察やメディアも巻き込み、麻薬組織と一大決戦を繰り広げる。

『ライリー・ノース 復讐の女神』基本情報

2018年製作/102分/R15+/アメリカ・香港合作
原題:Peppermint

監督: ピエール・モレル

出演 : ジェニファー・ガーナー、ジョン・オーティス、ジョン・ギャラガー・Jr.ほか

短評

リュック・ベッソンの元で修行したピエール・モレルが『エイリアス』『エレクトラ』のジェニファー・ガーナーを再びアクション作品に呼び戻した作品。

ピエール・モレルという監督は、もともと撮影監督であって、アクションの撮り方は上手いのだが、全体を通すと…内容の薄い作品に仕上がってしまうというのが特徴的な監督である。

初監督作品『アルティメット』は、やはりアクションは凄いのだが、肝心な中身がペラペラなのだ。リュック・ベッソンの本質的作品よりも製作だけ関わっている、量産型アクション映画に影響されてしまっているのが観ていて辛い。

『96時間』の場合は、リーアム・ニーソンの渋さによって、誤魔化されているものの、なかなかのペラペラ映画だ。アクション映画だから、中身は単純明快でいいという考え方もある。ある程度は、それでいいと思うし、仕方のない部分もあるのだが、それにしても目に余る作品が多いというのがピエール・モレル作品の特徴となってしまっていることが悲しい。

今回の犠牲者になってしまったのは、ジェニファー・ガーナー。ドラマシリーズ『エイリアス』終了後、2007年の映画『キングダム 見えざる敵』を最後にアクション映画から離れていた。2007年前後は、ジェニファーが私生活で結婚や出産、子育てと私生活が忙しかったため、肉体的に辛い作品からは離れていたのだ。

その後の彼女の作品は、コメディやファミリー向け作品などが多く、すっかり等身大ママ女優となりつつあった、ジェニファーのアクション映画としては、今作が11年振りとなっていて、注目されていた作品でもあった。

ピエール・モレル作品ということで、ある程度の妥協は仕方なかったのだが、それにしても設定とストーリーの不安定さは無視することができなかった。

自分の娘と夫を殺された復讐として、周りの関係者から、大本の人物まで関与した者を次々と殺していくという復讐劇プロットは、ありきたりではあるが、その点は、多くの作品にも通じる部分があるため、指摘する点ではない。

問題なのは、その復讐劇の描き方である。直接的に家族の殺害に関わった人物や犯人を裏取引で無罪にした弁護士や検事などがあっさりと処理されてしまっていて、酷い場合は、警察のセリフの中で「〇〇も殺害されていた」としか出てこないのである。

家族の復讐劇がいつの間にか、殺害の指令を出した大本への復讐がメインに切り替わってしまっていて、描き方のバランスが悪い。

普通の母親が空白の5年間の間に自分を殺人マシーンに仕上げたというのも、現実離れしている。確かに「母は強し」という言葉はあるが、誇張しすぎているし、その中でも何か説得力は欲しいところだ。『96時間』の場合は、実は元CIAという設定で、やたらと強い理由をさらりと解決しているのだから、セリフ一言でよかったし、今回もFBIが「何故、普通の母親がこんなに強いのか」ということが議論となるチャンスはあったのに、なんだかよくわからないままにしてしまったわけだ

元CIAにでもしておけば、『エイリアス』のシドニー役を連想できただろうし、ファンは妄想できたわけだ。

あやふやに処理してしまった狙いが、次回作で描くためであるのか、単にそこまでキャラクター造形をしていなかったのかは不明だが、母親が5年で殺人スペシャリストに変貌するのには、違和感がありすぎる。

元CIAや元特殊部隊、元殺し屋というのも、突拍子もない設定ではあるが、そのひとつの設定がいかに大事かということを改めて思い知らされた。

唯一の救いといえば、ジェニファー・ガーナーの吹替えが『エイリアス』と同じ安藤麻吹だということぐらいだろう。

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