イントロダクション
“ヒーロー映画全盛期”に、新たに名を上げた5人の戦士――。
日本の特撮シリーズ“スーパー戦隊”の英語ローカライズ版として1993年から放送が開始されたTVシリーズ「パワーレンジャー」を、ハリウッドがリブート。
総製作費120億円を費やし、日本が生み出したヒーローが圧倒的スケールで生まれ変わる。
ストーリー
―遡ること時は紀元前。古代の地球で世界の運命を決する大きな闘いが終焉を迎えていた。 ある5人の戦士たちによって守られた地球。そこにはやがて新しい命が芽生え、物語は現代に帰ってくる。小さな町・エンジェル・グローブに暮らす5人の若者がいた。ありふれた日々を過ごす彼ら。しかし、運命に導かれるように5人は出会い、やがて訪れる脅威に立ち向かう”新たな力”を手にする。その力は、なぜ彼らに与えられたのか? いま、物語は再び動き出す――。
スタッフ・キャスト
監督 : ディーン・イズライト『プロジェクト・アルマナック』
脚本 : マックス・ランディス『エージェント・ウルトラ』『バッド・バディ! 私と彼の暗殺デート』
ジョン・ゲイティンズ『キングコング:髑髏島の巨神』『ニード・フォー・スピード』『アラジン2』
ザック・ステンツ『トップガン マーヴェリック』『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』
アシュリー・エドワード・ミラー 『トップガン マーヴェリック』『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』
マット・サザマ『モービウス』『ラスト・ウィッチ・ハンター』
バーク・シャープレス『モービウス』『ラスト・ウィッチ・ハンター』
出演 : デイカー・モンゴメリー『ベター・ウォッチ・アウト クリスマスの侵略者』
ルディ・リン『アクアマン』『モータルコンバット』
ベッキー・G『ノーム・アローン』『A-X-L/アクセル』
ナオミ・スコット『チャーリーズ・エンジェル』『レモネード・マウス』
RJ・サイラー『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール: 報復の荒野』『ぼくとアールと彼女のさよなら』
ブライアン・クランストン『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』『30年後の同窓会』
エリザベス・バンクス『ブライトバーン/恐怖の拡散者』『スパイダーマン3』
ビル・ヘイダー『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』『トイ・ストーリー4』
クレジット
製作 : ハイム・サバン
撮影:マシュー・J・ロイド
音楽 : ブライアン・タイラー
編集: マーティン・バーンフェルド
2017年/アメリカ/カラー/124分
短評
日本の「スーパー戦隊」をアメリカでリメイクした「パワーレンジャー」シリーズの中でも、記念すべき第1作目『恐竜戦隊ジュウレンジャー』をベースとした「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」を映画化した作品。
今までにも劇場版は制作されているが、それらはあくまでテレビシリーズの劇場版という立ち位置であるのに対して、今回はテレビシリーズとは差別化して、ひとつの「映画」としてリブートしたものである。
そのためデザインは、マイケル・ベイの「トランスフォーマー」や「ミュータント・ニンジャ・タートルズ」のように、いわゆるリアルナイズされていて、スーツやレンジャーたちが乗るメガゾードもエイリアンのようなデザインとなっている。
メンバーが出会うのが、同じナオミ・スコットが出演していたディズニー・チャンネルの『レモネード・マウス』を意識しているのか、居残り部屋という点において酷似している。『ブレックファスト・クラブ』と比べる評も多いが、時代的にディズニー・チャンネルや現代ティーンムービーが意識されているといった方が正しいだろう。
大まかな流れとしては、戦隊シリーズの第1話のような感じではあるが、今作が特徴的なところは、なかなか変身できないという点だ。これは精神的に戦う覚悟ができていなかったりすると、スーツが起動してくれないという、なかなかめんどくさい設定である。
そのため変身できるかどうかは、キャラクターたちの心の成長が必要とされる仕組みで、それぞれに抱える葛藤を乗り越えなければならない。
『パワーレンジャー:ダイノフューリー』のグリーンレンジャーがLGBTQのコミュニティに属している設定で話題となったが、それに先駆けて同性愛要素を取り入れているのも特徴的だ。
その点は、子ども向けの「パワーレンジャー」シリーズでは、なかなかない設定ではあるし、『スパイダーマン2』でも、心に迷いが生じた際に能力が弱まったのと同じように、精神と能力がいかにリンクするかということを描いている。
パワーレンジャーになるのが多感な時期の高校生という設定をフル活用して、人間ドラマとして、成長物語を丁寧に描く一方で、大前提としてベースになっているのが、子ども向けヒーローというのが忘れがちになってしまっていて、ドラマとしては濃厚ではあるが、アクション大作としては、かなりじれったい作品になってしまっている。
決して悪い作品ではないし、個人的には好きな作品ではあるが、完全にターゲット層を見失ってしまった作品といえるだろう……。
続編企画もあったが、すでにNetflix映画としてリブートされることが決定しており、事実上、このシリーズは今作のみで終了となった。
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