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この映画語らせて!ズバッと評論!!『ただ悪より救いたまえ』拳や刃物を通してしか分かり合えない不器用な男同士が激突!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ただ悪より救いたまえ』拳や刃物を通してしか分かり合えない不器用な男同士が激突!!

作品情報

祖国から見捨てられた凄腕の暗殺者インナムと、裏社会でも恐れられる凶暴な殺し屋レイ。絶対に出会ってはいけない2人が激突する。韓国映画がもっとも得意とするノワール・アクションを一新する、壮絶なバイオレンス・エンターテインメントが完成した!主人公インナム役は、韓国が誇る名優ファン・ジョンミン。寡黙で冷静、しかし目的のために他人の指を躊躇なく落とす残虐キャラで、『アシュラ』の極悪汚職市長、『コクソン』の妖しい祈祷師といった役柄以上に強烈なインパクトを与える。インナムの命を執拗に狙う無慈悲な殺し屋レイには、『新しき世界』ではファン・ジョンミンと義兄弟の絆で結ばれていたイ・ジョンジェ。気心の知れた2大スターの共演だが、今回は心の交流は一切無用。行き交うのは暴力のみという血なまぐさい関係性で狂気と狂気をぶつけ合う。そして殺伐とした物語の中で一服の清涼剤となるのが、バンコクでインナムを手助けするユイを演じたパク・ジョンミン。また豊原功補や白竜ら日本人キャストが短い出番ながらもヤクザがうごめく裏社会を体現する。本作が長編第二作となるホン・ウォンチャン監督は、ナ・ホンジン監督の衝撃のデビュー作『チェイサー』や『悲しき獣』などの脚本を手がけ、韓国ノワールの革新を牽引してきた注目の才能。インナムが抱えるやるせない苦悩をぶっ飛んだ暴力描写とスタイリッシュなアクションで包み込み、センチメンタルでありつつもドライという独自の美学を追求してみせた。撮影監督は、第92回アカデミー作品賞受賞作『パラサイト 半地下の家族』の名手ホン・ギョンピョ。東京、仁川、バンコクという3つのロケーションの個性を増幅させ、異世界に迷い込んだかのような幻想的な映像マジックが冴え渡る。

『ただ悪より救いたまえ』レビュー

『スティール・レイン』に続き、白竜が出演している韓国映画。日本のヤクザも登場してきて、前半は日本が舞台となっているが、作品の軸となるのは、タイのバンコクに移ってからだ。

暗殺者インナムは自分に子どもがいたことを知り、突然行方不明になった子どもを追ううちに、人身売買組織にたどり着いていくが、誘拐した子どもが売買される地獄のような光景が広がる。

兄の仇だと周りが全く見えておらず、破壊の限りをつくす凶暴な殺し屋レイが現れたことで、かなりややこしい状態となっていく。

男同士のぶつかり合い、決して交じり合わない思いが、拳やナイフを通してだけ理解し合える瞬間がある……というような『孤狼の血 LEVEL2』に通じる、少し隠れBL感のあるような作品でもある。

韓国の闇社会の男たちを描く「韓国ノワール」は、日本でも一定の人気を誇っているし、子どもとヤクザや殺し屋の組み合わせは、散々使い倒されてきているだけに、目新しさはないし、今作はノワールいうよりも、娯楽作品寄りであり、全体的に泥臭い。

点数 77

2021年12月24日ロードショー

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