THE映画紹介とは?
THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。
アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!
今回紹介するのは『パーティ・モンスター』
作品情報
ニューヨークのクラブ・シーンを席巻したカリスマ的青年を描く、実話を基にした青春映画。監督・脚本はドキュメンタリー出身でこれが初の劇場用ドラマ作品となるコンビ、フェントン・ベイリーとランディ・バルバート。原作はジェイムズ・セント・ジェイムズの著作「ディスコ殺人事件」。撮影は『クリーン、シェーブン』のテオドロ・マニアッチ。出演は『リッチー・リッチ』『ホーム・アローン』のマコーレー・カルキン、『バフィー恋する十字架』『ミニミニ大作戦』のセス・グリーン、『ニュースの天才』『ドッグヴィル』のクロエ・セヴィニー、『ボウリング・フォー・コロンバイン』『ブラッド』などにも登場している人気ミュージシャンのマリリン・マンソン、『ニューヨークの恋人』『アメリカン・パイ』のナターシャ・リオン、『スーパーノヴァ』のウィルソン・クルーズ、『ホワット・ライズ・ビニース』ダイアナ・スカーウィッド、『テキサス・レンジャーズ』『アメリカン・ホラー・ストーリー』のディラン・マクダーモットほか。
『パーティ・モンスター』基本情報
2003年製作/99分/アメリカ
原題:Party Monster
監督: フェントン・ベイリー、ランディ・バルバート
出演 : セス・グリーン、マコーレイ・カルキン、マリリン・マンソン、クロエ・ゼヴィニー、ナターシャ・リオン
短評
『ホーム・アローン』で世界一有名な子役となった、マコーレー・カルキンだが、両親の裁判や薬物中毒で人生ボロボロ…なんとか立ち直って俳優に復帰してやる!!って出演したのがこの映画というのは、言葉を失ってしまう。
今作は、実在する伝説のクラブ・キッズとして90年代のニューヨークでトレンドとなった、マイケル・アリグ衝撃の日々を描いた作品ではあるが、「クスリやりすぎ」「早くクスリをくれ」「人生ボロボロ」とカルキンに突き刺さるセリフのオンパレードは、キャスティングに悪意すら感じられる。
パーティにあけくれ、終わりの見えない悪夢、クスリと幻覚に溺れる日々はもはや実生活のメタファーにしか思えず、ドキュメンタリーを意識した撮り方も皮肉である。
まるで監督と脚本家によるカルキンの公開処刑だ。
作品のプロットとしては、殺人事件に発展するまでの過程を描いているのだが、カルキンのことがインパクトありすぎて、殺人事件自体はおまけみたいにしか感じられない。
クスリを使用していたことがあるということ自体がいけないことではあるが、何もここまで….
今で言うなら、沢尻エリカが麻薬中毒の役を演じさせられて、「おまえの人生は終わったな」と罵倒され続けるような作品である。
今作は、90年代初期のニューヨークで人気となったクラブ、ディスコ2000が舞台となっており、出演者のクロエ・ゼヴィニーやマリリン・マンソンも実際に通っていたとか。
監督自身も当時はDJとして活躍しており、ディスコ2000での仕事もあったため、実際のマイケル・アリグとも会っているのだ。
インタビューで「可愛いやつではあったが、仕事ができないやつだった」とコメントしていることからも、マイケル・アリグが好きで映画化したというよりは、やはり皮肉的な意味合いで映画化したことは間違いないだろう。その境遇とカルキンの境遇に重なる部分があったからこそのオファーであるから、やはり悪意の感じられるキャスティングだ。
『フルハウス』のジョン・ステイモスが司会を務めるテレビ番組に出演するシーンでは、俳優に紛れて、何人か本物のクラブ・キッズが混じっているのだが、今見ると痛々しい…当時は、ドラァグ・クィーンのような姿をしたクラブ・キッズがカリスマだと思われていたことが信じられない。
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