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この映画語らせて!ズバッと評論!!『パーフェクト・ケア』人間を合法的に管理する現実社会の闇を描く!これはフィクションなのか?!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『パーフェクト・ケア』人間を合法的に管理する現実社会の闇を描く!これはフィクションなのか?!!

作品情報

デヴィッド・フィンチャー監督の映画『ゴーン・ガール』(14)で失踪した妻エイミーを怪演し、第87回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなど高い評価を獲得した俳優ロザムンド・パイクのあらたなる最高傑作が誕生した‼“完璧なケア”で裁判所からの信頼も厚い法定後見人のマーラ・グレイソン。だが、その正体は合法的に高齢者の資産を搾り取る悪徳後見人だった。そんなマーラが次の獲物に定めた資産家の老女ジェニファー。身寄りがなく格好の餌食となるはずが、なぜか彼女の背後からロシアン・マフィアが現れて――。主人公マーラを演じたロザムンド・パイクは本作で第78回ゴールデン・グローブ賞 主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)受賞。監督は『アリス・クリードの失踪』(11)のJ・ブレイクソン。ピーター・ディンクレイジ、エイザ・ゴンザレス、ダイアン・ウィーストら個性的な実力派俳優が脇を固める。

『パーフェクト・ケア』レビュー

自分の判断ができない老人や知的障がい者、認知症患者などの身元引受人となることで、その人物の財産も管理できる後見人制度。これは国によって事情は異なるものの、日本でも存在している合法的な制度である。

もちろん困っている人が活用する法律というのが大前提としてあるのだが、最近、ブリトニー・スピアーズの財産管理し続ける父親との裁判も話題になり、ドキュメンタリー映画『ブリトニー対スピアーズ -後見人裁判の行方』にもなったように、使い様によっては、悪用の余地がある制度でもある。

後見人はほとんどの場合が親族が務めるものではあるが、独り身だったり、家族がいても逮捕歴や依存症などによって、管理できないと判断されれば、第三者が後見人として選ばれることもある。

今作の主人公マーラは、裕福な老人の後見人となることで、本人は施設に入れ、財産を売却し利益を得る合法的詐欺を行っている。

ある日、同じように老人を施設に送り、財産を売却したものの、その人物は実はシアン・マフィアと繋がりのある人物で、マフィアから狙われてしまうという、自業自得な状況になるものの、きっかけとなった詐欺は合法であるのにも関わらず、施設に入れられた人物を出そうとするマフィアは非合法という、モラルが崩壊しそうな物語が展開される。

何よリ恐ろしいのがマーラの貪欲さと度胸だ。マフィアから和解案として現金を提示されも、その上をいく金額を提示したり、命を狙われたら狙い返し、自分が常に取引の優位な位置に立つ、人並外れた執念深さは、いったいどこからくるのだろうか……

後見人制度というものを描くにあたって、いくらか誇張されている部分はあるものの、実際にできなくはないというのも人間を管理する現代社会の末路のようで恐ろしく、既に世界は、そうなっているのではないかという不安も残る作品であった。

点数 85

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