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この映画語らせて!ズバッと評論!!第34回東京国際映画祭SP『なぎさ』物語構成の才能は十分に伝わるが導入方法に力業を感じてしまう!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!第34回東京国際映画祭SP『なぎさ』物語構成の才能は十分に伝わるが導入方法に力業を感じてしまう!!

作品情報

偶然訪れた心霊スポットのトンネルで、兄は妹の幽霊に出会う。そこは妹が事故死した現場だった。 トンネルの暗闇の中、兄は妹を探し彷徨い始める。暗闇は過去の故郷の時間へ、兄を誘う。

『なぎさ』レビュー

©MMXXI Takeshi Kogahara, Mami Akari

CMや短編作品の監督古川原壮志の長編デビュー作品。それは何となく良くも悪くも伝わってくる。というのも映画の尺の使い方が贅沢だったりするからだ。

真っ暗なシーンや、後ろ姿が一定時間長回しで映し出されるなど、アート的と言ってしまえば聞こえは良いかもしれないが、無駄に尺を消費しているような感じがしてしまって、一転集中の苦痛な時間が多い。

そうは言っても、全体的の物語としては良くできていて、何に対してもやる気がないように感じられる主人公の抱えているものが次第に浮き彫りにされていく過程が、散らばったバズルのピースが見つかっていくような構成は見事。

毒親というだけではなく、貧しい家庭環境において、手を取り合って妹と生きてきた兄が、大学に進学したことで、妹と連絡をとらなくなってしまい、妹が会いに来る途中で事故にあって亡くなってしまう。

主人公のやる気のない表情が、娘への罪悪感や喪失感からくるものだとわかってくると、一気に物語に厚みが出てくる。

ただ、理解できないというか、辻褄が合わない部分があったり、妹の事故現場に向かい幽霊に遭遇するくだりに不自然さがあり過ぎていて、もっと物語への導入方法を考えた方がよかったとは思うだけに、次回作に期待!!

点数 72

©MMXXI Takeshi Kogahara, Mami Akari

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