作品情報
記憶には誰も知らない、深層世界があった。その世界に潜入(レミニセンス)し、記憶を抜き取って、真実を暴けるのかー。 ルール1:潜入できる記憶は、対象者が五感で体験した世界すべて。 ルール2:同じ記憶に何度も入ると、対象者は記憶に呑み込まれ、現実に戻れなくなる。 ルール3:記憶から、事実と異なるものを植え付けると、対象者は脳に異常をきたす。 都市が海に沈み、水に支配された世界で、〈記憶潜入エージェント〉として暗躍するニックに、検察から仕事が舞い込む。新興勢力のギャング組織の男が瀕死の姿で発見された。彼の記憶に潜入し、ギャングの正体と目的を掴めという依頼だ。彼の記憶から映し出された、事件のカギを握る謎の女性メイを追って、多くの人々を記憶潜入(レミニセンス)するニック。だが、膨大な記憶と映像に翻弄されたニックは、予測もしなかった陰謀へと巻き込まれていく──。
『レミニセンス』レビュー
日本の恋愛映画で多いのだが、今作も別の作品で恋愛成就しなかった2人のラブストーリーにするパターンの映画ではないだろうか。
つまり『グレイテスト・ショーマン』のヒューシ・ジャックマンとレベッカ・ファーガソンのマルチバース、「トワイライト」の2次創作として『フィフティ・シェイズ」シリーズがあるような関係性の映画のようにも感じられる。
恋愛映画ばかり作っている日本では麻痺してしまうかもしれないが、ハリウッドでは、ストレートな恋愛映画は、ほとんど企画が通らないのが現状。
恋愛映画の企画を通すうえで恋愛はメインにはできず、SFやアクションのサブジャンルとしてしか、なかなか組み込めない事情が反映されているような感じがした。
比較的、近未来が舞台のようではあるが、人間の思想としてはあまり変わっていない。それどころか、過去に執着する部分が、今作の設定によって、より浮き彫りにされるような世界観であるのは、何とも皮肉的というか、時代が変化しても人間はあまり成長しない、時代の変化に疎い生き物……だから、古臭いかもしれないけど、「恋愛映画がやりたいのよ!!」っていう願望全開な脚本のように感じられた。
そう考えると、レベッカ・ファーガソンがやたら歌っているのも理解できる。
水を使ったビジュアルとしては、見応えのある部分は多いし、冒頭の街並みが映し出されるシーンは妙にリアルに感じられるのだが、少し冷静になって俯瞰で観てみると、基本的な行動範囲場所は、大雨の後程度に少し水に沈んでいるだけで、基本的に現代とそんなに大きな代わり映えがない。
記憶に潜入する技術や方法は近未来的かもしれないが、オーソドックスな捜査劇が続くことから、ミステリー映画としての側面が強く、SF映画のガチャガチャ感は全くないだけに、ノーランのイメージが邪魔をしているようでならない。
ただ、未来に進むのもひとつの決断としてあるかもしれないけど、それ自体が人間が勝手に作り出した概念でしかなくて、今作が描く世界においては、過去に生きることも、ひとつの決断として尊重されているというのは、なかなかおもしろい概念の描き方である。
ちなみにタンディ・ニュートン演じるエミリーの孫役を演じているニコ・パーカーはタンディの実の娘である。
出演:ヒュー・ジャックマン(『グレイテスト・ショーマン』『ローガン』『レ・ミゼラブル』)、レベッカ・ファーガソン( 『グレイテスト・ショーマン』『 『ミッション・インポッシブル』シリーズ)、タンディ・ニュートン(「ウエストワールド」) 監督:リサ・ジョイ(HBOドラマ「ウエストワールド」プロデューサー、「プッシング・デイジー」脚本) 製作:ジョナサン・ノーラン (『インターステラー 』脚本、『ダークナイト』脚本)、リサ・ジョイ
配給:ワーナー・ブラザース映画 #レミニセンス © 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
点数 79
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