アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!
今回紹介するのは『ウォンテッド』
作品情報
『ナイト・ウォッチ』『デイ・ウォッチ』の奇才ティムール・ベクマンベトフ監督が放つ、アクション映画の常識を覆す衝撃の“新次元”ムービー!人生にウンザリしていた平凡な若者ウェスリーが、世界の秩序を守る暗殺組織の王位継承者として眠っていた力を覚醒させ、一流の暗殺者へと変貌を遂げていくのだが…。ジェームズ・マカヴォイ、アンジェリーナ・ジョリー、モーガン・フリーマンほか出演。
『ウォンテッド』基本情報
2008年製作/110分/アメリカ
原題:Wanted
監督 : 『ナイト・ウォッチ』 ティムール・ベクマンベトフ
脚本: マイケル・ブラント、デレク・ハース、クリス・モーガン
出演 :
『X-MEN ダーク・フェニックス』『IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』ジェームズ・マカボイ
『モンタナの目撃者』『マレフィセント2』アンジェリーナ・ジョリー
『ブルース・オールマイティ』『ラッキーナンバー7』モーガン・フリーマン
『エレクトラ』『ゲット・スマート』テレンス・スタンプ
短評
ロシアの長編ファンタジー小説『ナイト・ウォッチ』の映画版を監督したティムール・ベクマンベトフの独特の映像センスがハリウッドで認められ、異例の抜擢で今作を監督する運びとなったのだが、続編となる『デイ・ウォッチ』を監督した後に今作を手掛けたことで、当初予定されていた「ウォッチ」シリーズの映画化企画は途中破綻となってしまった。
ストーリーに関しては、賛否両論ありながらも、ティムールはもともとCM監督していただけに、映像センスは抜群であり、それがハリウッドの目にも留まったということだ。
「ウォッチ」シリーズ3弾「ダスク・ウォッチ」の準備をしていたが、ティムール自身も語っているように、今作が彼にとっては「ダスク・ウォッチ」と思って制作したという側面もあって、演出や構図などは、当初「ダスク・ウォッチ」に使用しようと思っていたものが多く取り入れられている。
当時、「ハリー・ポッター」「ロード・オブ・ザ・リング」など、ファンタジー映画の成功を受けて、比較的ファンタジーに関して寛容だったこともあり、日本を含め、他国でも『ナイト・ウォッチ』が劇場公開され話題になった一方で、便乗して失敗したファンタジーも数多くあるのも事実。しかし少なくともロシアにおいては大成功していたシリーズだっただけに、それを諦めて今作に着手した覚悟というのは、結果がどうであれ評価すべき点だといえるだろう。
『キック・アス』『キングスマン』『シセュピターズ・レガシー』などを手掛け、DCやマーベルにおいても大人向けのグラフィック・ノベルの概念定着に貢献してきたマーク・ミラー原作作品ということもあって、内容はもちろん大人向けのバイオレンスアクションといったところで、原作のように脳みそが飛び散っるようなゴア表現は抑えられ、クリーチャーが登場しないといったアクション・ムービー・ナイズが強めにされているものの、やはりそのセンスというのは伝わってくる。
そのセンスを映像を通して伝えることを成功に導いたのは、ティムールの映像センスがリンクした結果といえるだろう。
単純にスタイリッシュ・アクションという側面から楽しめる作品になっていて、銃を撃ったときにカーブさせたり、かなり遠くの相手に命中させるといった、独特のガンアクションも見所である。
ファンタジーとリアリティのバランスが絶妙といった感じはするのだが、逆にそこがアメコミ映画という印象を薄めてしまっていて、足を引っ張っているようにも感じられる。
さらに「ワイルド・スピード」シリーズではお馴染みのクリス・モーガンらが脚本に入っていることもあって、カーアクションも多く取り入れられている。
アクシュンとしては忙しい作品ではあったが、ストーリー自体が地味になってしまったのも事実で、思い切って原作の通りの設定と世界観で描いて欲しかったというコミックファンは多かったはず。
今作の続編も企画されていて、アンジェリーナ・ジュリーも何度か続編についてコメントしていたが、実現には至らなかった……
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