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この映画語らせて!ズバッと評論!!『孤狼の血 LEVEL2』やさぐれバリアを張る心優しき刑事日岡VS悲しきサイコパス・ヤクザ上林!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『孤狼の血 LEVEL2』やさぐれバリアを張る心優しき刑事日岡VS悲しきサイコパス・ヤクザ上林!!

作品情報

2018年、強烈なバイオレンスと秀逸なストーリーテリングによって灼熱を生きる男たちの生き様を描き、コンプライアンス重視の世相に風穴を開けた超衝撃作『孤狼の血』。そのクオリティとインパクトは、映画ファンは元より多くの関係者/見識者をも大いに唸らせ、第42回日本アカデミー賞に於ける最優秀4部門を含む最多12部門の優秀賞をはじめ30を超える映画賞受賞の栄冠に輝いた —あれから3年。遂に映画『孤狼の血』が帰ってきた。その名も『孤狼の血 LEVEL2』‼監督はもちろん白石和彌。脚本は池上純哉によって前作の3年後が舞台の完全オリジナルストーリーが実現。つまり作家・柚月裕子の原作小説『孤狼の血』シリーズ三部作の何れとも異なる、映画独自の新たな『孤狼の血』サーガが繰り広げられるのだ。撮影はオール広島ロケを敢行。前述の通り、数多の映画賞を総ナメにした前作の主要スタッフが再集結。人間ドラマの機微から鳥肌モノの死闘まで、息をもつかせぬ驚異的な密度と戦慄のリアリティによって塗り描かれている。幾度となくピークを迎える本編139分。1シーン1秒たりとも見逃せないエンタテイメント超大作の誕生である。主人公のマル暴刑事・日岡秀一を演じるのは日本映画界のエース、松坂桃李。前作では新米エリート刑事だった日岡だが、殉職した大上章吾(役所広司)の“血”を受け継ぎ、ルックスもダーティでハングリーな“孤狼”形態へと変貌を遂げた。危険な魅力を湛えた「誰も見たことのない松坂桃李」がスクリーンに炸裂する。その日岡の前に立ちはだかる上林組組長・上林成浩には鈴木亮平。これまで数々の型破りなキャラクターに挑んできた鈴木が、またも最高値を塗り替えた。研ぎ澄まされた狂気。息を呑む暴力。圧倒的なプレゼンスを誇る最恐最悪のモンスターが全観客を恐怖で震え上がらせる。そんな日岡と上林との間でS(エス=スパイ) として揺れ動く近田幸太を村上虹郎、幸太の姉の「スタンド華」ママ・真緒を西野七瀬が熱演。そして音尾琢真、早乙女太一、渋川清彦、毎熊克哉、筧美和子、青柳翔、斎藤エ、滝藤賢一、矢島健一、三宅弘城、宮崎美子、寺島進、宇梶剛士、かたせ梨乃、中村獅童、さらに中村梅雀、吉田鋼太郎と、前作からの続投組と初参戦の豪華俳優陣が入り乱れ、血で血を洗う壮絶なバトルロイヤルが展開されていく。それぞれの思惑や義を掲げて狂騒の広島を駆ける者たち。秩序のために警察と裏社会のタイトロープを続ける日岡の所業は本当に正義なのか?暴走列車の如く無法の限りを極める上林の狂気が行き着く果てとは?日岡と上林の壮絶な直接対決の行方とは?そして前作を遥かに上回る予測不可能な驚愕のクライマックスとは!?あらゆるリミッターを破壊して未曾有のネクストレベルヘと到達した『孤狼の血 LEVEL2』。灼熱の男たち、その新たな伝説がここに―。

『孤狼の血 LEVEL2』レビュー

(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員

試写で観たのは6月末ということで、かなり期間が空いてしまっているわけだが、その中でも忘れたくても忘れられないのが鈴木亮平演じる上林というキャラクターだ。

前作のゴリゴリなヤクザ映画の雰囲気を保ちつつ、原作にはなかった平成初期のタイムラインを描いていて、『ヤクザと家族』のように、実際に昭和から平成に移り変わる際のヤクザの社会的な立ち位置の変化も反映させている。

時代の流れも味方し、エリートだった日岡が警察とヤクザの絶妙なパワーバランスで地盤を築いてきたのだが、その間は、刑務所にいたことで時代に逆行するかのように、裏社会に戻ってきた上林は、時代遅れのヤクザという印象ではあるが、人間的な過去がありながら、環境が生んでしまった悲しきサイコパスでもある。

上林は、標的にした相手の目玉をえぐり出す(演出的にわざとチープにしてある)という残忍極まりない男であり、何より日岡の築いてきたものが、全く通用しない。

キャラクター構造としては、漫画のような設定ではあるものの、ここがエンターテイメントとしての色が濃く出ている部分であり、前作とはまた違ったテイストのヤクザ・エンターテイメントとして楽しむことができるのだ。

東映ヤクザ映画やVシネ感は意図的に漂わせつつも、若い世代にも向けたアクション映画としての側面もあったりで、あらゆる要素が詰め込まれている作品と言っていいだろう。

ヤクザから舐められないように、大上の真似をして、やさぐれ刑事のように振舞っている日岡も、根は1作目とあまり変わってなくて、優しい心の持ち主だけに、見せかけ上での、はったりや計算が通用しない上林の行動に恐怖を感じつつも、それを表に出してしまうと、心に隙ができてしまい、今まで築き上げてきたものも、一瞬にして崩れ去ってしまう。

日岡の自分の中の弱さや恐怖、根の優しさなどが入り混じり葛藤が繰り返される中で、心のより所になるような人物も何人か登場する。

1人は西野七瀬演じる真緒、そしてもう1人が、真緒の弟の幸田。この2人を助けて、普通の生活ができるようにすることこそが、日岡の目標であったというのに、上林の存在が全てを「無」にしてしまいそうで常に緊張感が漂う。

そんな日岡のバディになったのが、警部補の瀬島。裏社会で警察からは孤立してしまった日岡に優しく声をかける、警察内の唯一の味方なのだが、この瀬島が今作の大きなアクセントともなっている。

上林の場合は「純粋悪」といったところだが、今回は警察サイドの恐ろしさも描かれていて、詳しくい言ってしまうとネタバレになってしまうのだが、 後半から「まさか…」とは思わせぶりな感じがあるものの、「勘違いであって欲しい」と心から思わせる瀬島もなかなかのキャラクターだ。

上杉とのバトルでは、物理的な刃物が肌に刺さる痛々しさがスクリーンを通して伝わってくるが、警察サイドからは、見えない刃物が心に刺さるようになっていて、どちらからも突き刺されるようで、かなり痛い映画だ!!

CREDIT

(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員

出演:松坂桃李、鈴木亮平、村上虹郎、西野七瀬、音尾琢真、早乙女太一、渋川清彦、斉藤 工、中村梅雀、滝藤賢一、寺島 進、宇梶剛士、かたせ梨乃、中村獅童、吉田鋼太郎

監督:白石和彌 
原作:柚月裕子「孤狼の血」シリーズ(角川文庫/KADOKAWA刊) 
脚本:池上純哉 
音楽:安川午朗 
企画協力:KADOKAWA  
製作:『孤狼の血 LEVEL2』製作委員会 
配給:東映
コピーライト :(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員

■公開日
2021年8月20日

■公開情報
R15

■公式サイト
https://www.korou.jp/

(C)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員

点数 82

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