作品情報
20XX年、列島を南北に縦断する断層・台地溝帯=フォッサマグナから現れた「妖怪獣」により、妖怪界と世界に未曽有の危機が到来。妖怪たちは「妖怪獣」に反抗する力として、伝説の武神を復活させる手立てを講じる。しかし、その復活には古代の妖怪ハンター・渡辺綱の血を継ぐ者の力が必要だった。そこで選ばれた宿命の兄弟が思いもよらない大冒険に身を投じていくー!主人公は、当代きっての名子役・寺田心。数奇な運命に導かれ、世界の存亡をかけた戦いに挑む主人公・渡辺ケイを演じる。そんな主人公を取り巻く妖怪役には、杉咲花、大沢たかお、大森南朋、安藤サクラ、大倉孝二、三浦貴大、大島優子、赤楚衛二、SUMIREなど、超豪華キャストが集結。
『妖怪大戦争 ガーディアンズ』レビュー
4、5年周期で「妖怪」にまつわる作品が展開される中で、2005年にも神木隆之介主演でリメイクされた大映の名作特撮映画『妖怪大戦争』のリブート作品が制作され、大映作品の権利を所有する角川としても、リバイバル上映などによって、サイドからも盛り上げてはいるものの、肝心の作品自体がどうしようもないのが残念でならない。
三池崇史に加え、問題なのが渡辺雄介による脚本ということ。今までにも漫画原作の映画を失敗に導いてきた脚本家ではあるが、漫画原作であれば、完結していないものもあったりと、まとめるのも大変な場合が多く、同情の余地もあるというもの。
しかし、今作はオリジナルの大映作品があるとはいっても、基本は完全オリジナルということもあり、正に力量が試されたといえるだろう。
近年の「妖怪ウォッチ」や近年の「ゲゲゲの鬼太郎」によって、妖怪のデザイン性やイメージというのが緩和されてしまっているようでならないのと、三池も『劇場版 ポリス×戦士 ラブパトリーナ! 怪盗からの挑戦!ラブでパパッとタイホせよ!』などの子供向け作品も手掛けるようになっていて、感覚として完全に「子供向け」になってしまっている部分もあるかもしれない。
しかし、近年の脚本でも「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」といった、いわゆる「子供向け」の劇場版脚本がハイクオリティになっているが故に、「子供向け」だからというのは、流石に「おしりたんてい」のラインであれば通用するかもしれないが、中学生、高校生も対象に入ったような作品には、もはや言い訳として使えないものになっている。
何より問題なのが、製作サイドが観客をバカにしているかのようなクオリティということだ。「ツッコミ所がある」とか「ない」とか、「おもしろい」とか「おもしろくない」というのは、別問題として、作品として欠陥建築で、筋が通っていない。
完全に子供向けではあるが、同日公開の『映画おしりたんてい スフーレ島のひみつ』の方が、まだひとつの作品としての筋は通っていた。
キャラクターをたくさん出すことで、ストーリー性がなくなってしまう悪い例が、かつて「仮面ライダーディケイド」以降の劇場版には数年みられたように、今回もキャラクターが多いことでキャラクターひとりひとりの描写が非常に薄っぺらく、相手に説得されて意見がすぐに変わってしまう。
散らかすだけ散らかしい、「大魔神」で誤魔化し、無理やり丸め込んでしまう力業な結末。
クレジット
主演:寺田心
監督:三池崇史 脚本:渡辺雄介
製作総指揮:角川歴彦、荒俣宏 製作プロダクション:OLM
配給:東宝、KADOKAWA ©2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ
映画公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/yokai/
公式ツイッター:@yokai_movie 「妖怪大ヤミット」公式サイトpromo.kadokawa.co.jp/yokai-yammit
点数 58
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