作品情報
ドム(ヴィン・ディーゼル)は、レティ(ミシェル・ロドリゲス)と幼い息子のブライアンの3人で静かに暮らしていたが、この平穏がいつまでも続くとは思っていなかった。そして、ドムは最も愛する者たちを守るため、否応なく自身の過去の罪と向き合うこととなる。ドムたちは世界を震撼させる陰謀を止めるため、凄腕の殺し屋で一流ドライバーである男と戦うことになる。-なんとそれは、実の弟のジェイコブ(ジョン・シナ)だった。
『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』レビュー
もはや車が主体となった映画でないことは、今更言うまでもないが、本シリーズとしては、今作を含め、あと3作で完結する…とは言ってもスピンオフが2作発表されているだけに、少なくとも、あと10年ぐらいは続きそうだ。
真面目な路線からスタートしたものが、回を増すごとに、どんどんモデルチェンジしていくことは別に珍しくないことで、それは映画に限らず、ドラマやゲーム、漫画などでも同様のことが言える。
ゲームでいえば『バーンアウト』や『セインツ・ロウ』に少し似てきている。
『バーンアウト』は、一応はレースゲームというジャンルではあるが、いかにスタイリッシュに相手をクラッシュさせるかがメインの作品であり、シリーズを増すごとにベースとなるレースゲームのシステムは崩せないだけに、あらゆるクラッシュのさせ方を試行錯誤してきたが、ついに行き詰ったのか、シリーズは終わってしまった。
もうひとつの『セインツ・ロウ』の場合は、ゲーム自体の映画化企画も『モータルコンバット』のグレッグ・ルッソが脚本を執筆していて、監督候補に『ワイルド・スピード ICE BREAK』のF・ゲイリー・グレイが挙がっているほどで、このシリーズに何かしら共通性を感じているのではないだろうか。
『セインツ・ロウ』というゲームは、当初はギャング間の抗争がメインで『グランド・セフト・オート』の類似作品のような扱いをされていたが、独自の路線を追求するが故に、ゾンビや宇宙人まで登場し、ついには舞台が宇宙となってしまった。
さすがに宇宙人などを登場させるほどの暴挙はしないだろうが、もはや手前まできている気がしてならないし、今作では宇宙に行ってしまった。しかも車で!
今回のキーアイテムとなるのは「磁石」
強力な磁石をつかって、いかに車をおもちゃにするかという映画になってしまっていて、過去に死んだはずのハンの再登場や今回初登場のドミニクの弟ジェイコブのドラマ要素も含まれてはいるものの、磁石で遊ぶ大人たちの姿が強烈に印象に残るし、残念ながら…そのシーンはおもしろい!!
車は人の乗せて走るだけではない。ぶつけ方にも「こんなにも使い方があるんだ!」という発見ができる。
この映画の趣旨ではない気がするのだが、もはや本質のストーリーとは別で、車の使い方、遊び方を楽しむものとなっていることを制作者サイドも理解しての今回の磁石設定の持ち込みのような感じがしてならない。
本来、スピンオフ扱いで、無かったことにもしたかったはずの『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』の監督を務めたジャスティン・リンがこのシリーズの軌道修正を任されたことも、方向性が大きく変わった要因だと思うが、ジャスティン・リンでなければ、ここまで続いたかというと…それも疑問であるだけに、良かったのか悪かったのか…判断が難しい。
点数 70
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