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THE映画紹介『燃える仏像人間』

THE映画紹介『燃える仏像人間』

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『燃える仏像人間』

作品情報

当時、京都在住の新人クリエイター・宇治茶が作画、撮影、監督などをひとりでこなして作り上げたデビュー作。劇画タッチで切り絵を背景の上で動かす「劇メーション」を表現手法とし、実写映像も交えながら、人間と仏像の融合生命体がうごめく異色の世界観を創出した。京都で仏像の盗難事件が相次ぎ、女子高生・紅子も実家の寺の仏像が盗まれた上に、両親を惨殺されてしまう。両親と旧知である住職の円汁に引き取られ、両親の復讐に燃える紅子だったが、ある日、円汁が秘密にしていた部屋に偶然迷い込み、そこで両親と仏像が融合したかのような醜い仏像人間と遭遇する。紅子役は人気若手声優の井口裕香。円汁役は『天空の城のラピュタ』ムスカ役で知られる寺田農。

『燃える仏像人間 』基本情報

2012年製作/80分/日本

監督:『バイオレンス・ボイジャー』の宇治茶

出演:寺田農、井口裕香、原知佐子、星光子ほか

『燃える仏像人間』短評

全体的な世界観としては『片腕マシンガール』『ロボゲイシャ』の井口昇が手掛けるアメリカ資本映画のようなものでありながら、絵的には漫☆画太郎に『妖怪伝 猫目小僧』の怪奇的雰囲気を融合した様なカオス的劇メーション

劇メーションとはアニメーションの表現のひとつであり、昔からそれほど使われている方法ではないが、代表的なにところで言うと楳図かずお原作漫画「猫目小僧」のアニメ版『妖怪伝 猫目小僧』がこの手法で1976年映像化された。

個人的には中学のときにキッズステーションかファミリー劇場で『妖怪伝 猫目小僧』LD-BOXの通販CMが番組の間にことごとく流れていたために、洗脳されて買ってしまったのだが、1回しか観ないで売ってしまったという思い出がある。

劇メーションという手法自体が、何だからおどろおどろしい雰囲気をかもし出すのにうってつけな技法なわけだが、今回は生きた仏像という気持ち悪さを演出するのにも素晴らしく機能していると言っていいだろう。

昭和のアニメならではの不気味さというのがあって、今のアニメと比べると、なかなかカオスな作品や演出は実は多かったりする。その独特な昭和アニメの不気味さが見事に表されていて、連続シリーズとして観たいぐらいだ。

今作の監督である宇治茶は2019年にも新作映画『バイオレンス・ボイジャー』を発表している。こちらも劇メーションなのだ。今作を観たら8割の人は「何だこれは?」と思うだろう。しかし、製作サイドは大真面目に今作を作っていることは伝わってくる。ふざけた内容ではあるが、ふざけた内容をふざけ通すのには、それなりの技術や努力、根気、才能が必要なのだということを何となく感じてほしい。

そして今作の監督・宇治茶には、これからも劇メーションを製作し続けてほしい。日本に一人ぐらい劇メーションばかり製作している映画監督がいてもいいのではないだろうか。

燃える仏像人間

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