映画『返校 言葉が消えた日』は、台湾で爆発的にヒットしたインディーゲームであり、日本でも話題になった作品。台湾で映画が公開されたのが2019年ということもあって、順番が前後してしまっているが、Netflixでも2020年からドラマ版が配信されている。
今作は、VR用の短編作品『Your Spiritual Temple Sucks』がサンダンス映画祭やシッチェス国際ファンタスティック映画祭など、世界各国の映画界で絶賛された監督ジョン・スーの長編初監督デビュー作ともなっている。
舞台となるのは、1962年、独裁政権下の台湾。テイストとしては、ファンタジーやホラー要素が強いものの、背景には、台湾の史実が描かれていることもあって、当時の学生目線の苦悩や恐怖が鮮明に描かれている。
「クロックタワー」や「弟切草」などといった、ホラーゲームのテイストは保っていて、90~2000年代にかけての日本のホラーゲームがベースであるような感じがするが、そこに『非情城市』『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』などでも描かれてきた黒歴史「白色テロ時代」と台湾の独自性を取り込むことでオリジンリティ溢れる作品に仕上がっている。
オーソドックスな恐怖演出や人々が抱えていた政治的な不安も描き出される一方で、監督がVRを手掛けていただけのことはあって、アトラクション的な演出の数々が恐怖を掻き立てていながら、アトラクション的な映画にありがちなチープさは感じられない。
【スタッフ】
監督:ジョン・スー(徐漢強)
プロデューサー:リー・リエ(李知)/アイリーン・リー(李華)
【キャスト】
ファン・レイシン:ワン・ジン(王)
ウェイ・ジョンティン:ツォン・ジンファ(脚)
チャン先生:フーモンボー(玉柏)
イン先生:チョイ・シーワン(思的)
ホアン・ウェンション:リー・グァンイー(李冠般)
ヨウ・ションジェ:パン・チンユー(親)
バイ教官:チュウ・ホンジャン(朱宏章)
原題:返校/2019年/台湾/カラー/103分/シネスコ/5.1ch/字幕翻訳:岡田美術
配給:ツインTwin/宣伝プロデュース:プレイントラスト
HP : https://henko-movie.com/index.html#top_top
2021年7月30日(金)全国ロードショー
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