ラジオ番組「バフィーの映画な話」Spotifyなどで毎週配信中!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ナポレオンと私』女子と守護キャラの何十年も続く少女漫画定番設定をどストレートに駆け抜ける!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ナポレオンと私』女子と守護キャラの何十年も続く少女漫画定番設定をどストレートに駆け抜ける!!

作品情報

WEB制作会社で営業アシスタントとして働いている28歳の大原春子(武田梨奈)。同僚たちの結婚ラッシュで焦りを感じてはいるものの、ここ数年、恋愛から遠ざかっている春子は、絶賛人生迷子中…。同僚の伊原ゆか(綾乃 彩)から恋愛ゲームを勧められるも、これまで恋愛ゲームに興味がなかった春子は乗り気になれずスルー。ある日、憧れている会社の先輩・岩田伸吾(染谷俊之)が新プロジェクトのメンバーを募集していることを知るのだが、岩田は春子にとって高嶺の花。後輩の西園寺里穂(岡林佑香)も岩田先輩を狙っている様子だが、春子は何もできず、ただ見ているだけ。不釣り合いな自分が情けなく、寂しさを紛らわすように恋愛ゲームをインストールしてみると、画面の中にいるナポレオンというキャラクターが目に飛び込んできた。「こんなイケメンがリアルにいたら幸せだけど実際いないしなー。はぁ、誰か幸せにしてー!」と叫んだその時、画面の中からナポレオン(濱 正悟)が現れた?! ナポレオンは《春子が本当に幸せを見つける手助けをする為に現れた》という。あり得ない状況に混乱する春子だったが…。ナポレオンと春子の奇妙な同居生活が始まった?!

『ナポレオンと私』レビュー

実際にあるアプリゲームをメタ的に実写化した、いわゆるゲーム原作ではあるものの、少し違ったテイストの作品に仕上がっている。

ただ、ゲーム版に関しては、イケメンのヴァンパイアという設定なのだが、映画に関してはヴァンパイアという設定がほとんど機能しておらず、おひとり様女子と守護キャラクターによるコメディは、近年でも『生理ちゃん』や『猫は抱くもの』、りぼんやなかよしといった少女漫画において、王道的に使われてきていて、いかに守護キャラクター側に特徴をもたせるかということが求められるところではあるが、今作にいたっては、かなり平凡なものとなっている。

残念ながら「ナポレオン」というキャラクター自体に魅力は感じないのだが、今作で武田梨奈が演じている主人公・春子はWEB会社で働いていて、ECサイトだったり、映画のパブリシティなんかも行っているという設定が現代らしくておもしろい。

春子は子供時代から「映画」に憧れがあって、映画関係の仕事につきたいとも考えていたということもあり、大型の配給会社ではないものの、WEB会社ではあるものの、何度か映画案件もあったりして、ある意味では夢はかなっている。

しかし、日常業務の忙しさで、本来憧れていた職業がいつしか事務的になってしまっていることから脱却していくことへのサポートとしてナポレオンの存在が機能しているわけだし、そこに少し変わった友情関係、信頼関係が生まれるというミスマッチさを楽しむというよりかは、ストレートにお仕事映画としての側面から観た方が楽しめる映画ではないだろうか。

一度は諦めてしまったり、日々の生活で忘れがちになっているものを、あるきっかけで思い出し、奮い立たせていくセカンド・ドリーム映画であることは間違いない。

ドラマでいえば「わかこ酒」という作品があるが、武田梨奈がちょっとくたびれたような女子役をやるのは、意外と珍しかったりして、そういった点では、見所ではあるかもしれないが、『ハイキック・ガール!』でデビュー以降、どうもインディーズ映画だったり、海外市場をターゲットにした輸出レーベル映画だったり…どうもアングラ臭がしてしまうのが悩ましいところだ。

点数 72

この映画語らせて!ズバッと評論!!カテゴリの最新記事