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取りこぼし映画評:『太陽は動かない』『名探偵コナン 緋色の弾丸』『NO CALL NO LIFE』『スリー・フロム・ヘル』

取りこぼし映画評:『太陽は動かない』『名探偵コナン 緋色の弾丸』『NO CALL NO LIFE』『スリー・フロム・ヘル』

『太陽は動かない』レビュー

やっと日本のアクションシーンが2000年代の香港映画の境地にまでは達してきたという印象は残した作品で、藤原竜也の舞台仕込みのオーバー演技と、竹内涼真のクールな演技が良いアクセントになっていて、画的にも見栄えしている。

アクションシーンの安定的な緊張感はあるものの、肝心の体内に埋め込まれた爆弾が、いつ爆発するのかわからない不安と緊張感の演出が、逆に追いついていないようで、緊張感の配分を間違えているのではないだろうか。

市原隼人が登場する冒頭シーンで、体内爆弾の緊張感が全て使い果たしてしまっているような気がしてならない。

ハン・ヒジョンやピョン・ヨハンといった、アジア系のスターを起用して、カタごとの日本語セリフを言わせていることや、無駄に世界を飛び回っている「007」のハッタリ要素も上手く料理していて、何も考えないで観る分には、楽しい娯楽作に仕上がっているし、WOWOWで放送されていた前日譚と繋がる演出には好き嫌いが別れるかもしれないが、今の時代のスタイルのひとつとして、これは認めるしかなくなってきているのかもしれない。

現代の物語の間にやたらと挿入される、少年時代のシーンが観ている間は、何を見せられているのだろうかと思ってしまうものの、のちにラストやドラマ版に繋がっていくという演出からも、良い悪いは別問題として、まんまと前日譚も観てみたいと思える演出になっている点はプロモーション的に評価もできる。

クライマックスの沈没する船の中でのシーンや掛け合いが、正に『海猿』のようであって、未だに『海猿』を引きずっているのかとも思ってしまうし、自分でレパートリーの少なさを提示してしまっていて、イメージ的に損ではないだろうか。

点数 77

『名探偵コナン 緋色の弾丸』レビュー

毎回、コナンの映画に感心させられる部分がある。それは「よくやってられるな」ということだ。これは別に悪口ではなく、称賛である。というのも「名探偵コナン」の劇場版が今作で24作目。

『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』のような日常を描いたコメディではないし、劇場版だけ別ユニバースのような設定にはできない。

最終段階の「黒ずくめ」を倒すという目標があるというのに、未だに完結していないというのも問題なのだが、劇場版は更に話を進めることができないという問題がある。

例えば『ドラゴンボールZ』のように、テレビのエピソードとエピソードの間に「実はこんなこともあった」的な設定を用いることができず、人気キュラクターを出すのは良いが、のちに傷跡を残すようなことができないのだ。

テレビシリーズに近すぎてもいけないし、遠すぎてもいけないという微妙な距離関係を常に保ったままでストーリーを展開させなければならない難しさ、展開の幅の狭さが、結果的にコナンの映画をアクション・パニック・ムービーのようにしてしまっているのだ。

かと言って、逆にテレビシリーズと同じ熱量では、「劇場版」という印象を与えることができないし、人もたくさん殺すこともできなくなってしまった。

東宝のアニメ映画の中では、極端に縛りの多い作品であるし、子供も観るファミリー向け映画にしなければならないという点と、アップデートされ続けるコンプライアンスから自由度が極端に少ない。

そんな中で「よくやった」と言ってあげたい作品である。原作でも人気の高い赤井家を題材としていながらも、原作の確信には触れず、微妙な距離感で、微妙なシンクロをさせてみせている。

事件の推理が、どうとかいう次元ではなくなってしまってはいるが、アクション・パニック・ムービーとしては、それなりに楽しめる作品だ。

先駆けて赤井一家についてのエピソードを再編集した『名探偵コナン 緋色の不在証明』が公開されていたが、これを観なくてもいいし、最悪赤井一家を知らなくても、冒頭で軽い紹介をしてくれているだけに、今作の活躍の範囲内にいたっては十分である。

リニアとオリンピックをモデルにした、今の世相を反映していそうで、微妙にズレていて、社会風刺になりきれていない距離感も良い。

最近、ゲストキャラクターが主体になりつつあるキャラもの映画となりかけていた、コナンの劇場版が本来の要素を取り戻していると言っていいだろう。

なんだか、最近、コナンを変に高く評価している人がいるみたいなのだが、テレビシリーズや漫画は別としても、劇場版にいたっては、基本としてあるのは、『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』に並ぶ、小さい子供もみられるエンターテイメントということを忘れてはならない。

点数 80

『 NO CALL NO LIFE 』レビュー

ホリプロ60周年記念作品というのに、地味な雰囲気で記念作品というような豪華さが、まるで感じられないインディーズ映画のノリである。

ある日突然、過去に繋がるようになって…というファンタジー設定が短編に向いているように感じてしまし、実際に短編向きなのだろう。

逆によくこの題材を長編にしたとは思うものの、監督自体が長編にあまり慣れてない感じが全面に押し出されていてしまっていて、作品の全体にぎこちなさとして現れてしまっている。

児童虐待によって形成されてしまう人間性についてなど、最近の作品では『ファースト・ラヴ』なんかにも通じる部分はあるが、社会問題へのメッセージ性としても若干弱い感じがしてしまう。

一周回って、この独特の空気感の中にある、ぎこちなさが良いと感じる人もいるかもしれないだけに、「お好きな方はどうぞ」といった作品だ。

点数 67

『スリー・フロム・ヘル』レビュー

『マーダー・ライド・ショー』『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』に続くシリーズ第3弾。前作のラストが『俺たちに明日はない』や『
ドラゴン怒りの鉄拳』のようなテイストだっただけに、続きがどうなるのか疑問だったが、なんとなく生きていたことになっている点もB級らしくて良いのだが、問題は作品自体の質だ。

『 デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2 』の場合は、ホラーでありながらも西部劇のようなスタイルになっていく独特のテイストが斬新だったわけだが、どんなジャンルミックスにしたとしても、本質であるホラー要素というのは、排除してはいけないはずだ。

今作は残念ながら完全にB級アクション映画と化してしまっている。

「どうした…ロブ・ゾンビ!!」こんなつまらない映画を作るような監督ではなかったはずだ。万人受けしなくても、意味がわからなくて、アート的、サタニズム的になり過ぎていたとしても、センスというものだけは絶えず感じさせてくれていたはずだ。

このグラインドハウス感を一周回って楽しむのかもしれないが、正直言ってスベっているようにしか感じられない。

『ハロウィン』みたいに、一度リメイクかリブート企画を挟んで、頭の中を整理した状態でオリジナル作品にまたチャレンジしてもらいたい。

『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』を観たとき、『マーダー・ライド・ショー』をライトにしたような作品だと思ったが、せめてこの作品のラインだけは超えて欲しかった…

日本で公開されるまでに時間が掛かっただけに、一度は輸入してでも観ようかと思ったぐらいだが、踏みとどまっておいて本当によかった。無駄なお金をかけてしまうところだった…

とは言っても、アーティストが毎回、センスを発揮した作品を作り続けられるかといえばそうでもない。どんな巨匠であっても、間にポンコツな作品もあったりするわけだ。だからこそ、次に期待したい。

点数 70

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