THE映画紹介とは?
THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。
アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!
今回紹介するのは『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』
作品情報
ボリウッドを代表する俳優シャー・ルク・カーンが主演を務め、インドで大ヒットを記録したミュージカル・エンタテインメント。1970年代、脇役俳優のオームは人気女優シャンティに恋をするが、シャンティは売れっ子プロデューサーのムケーシュと密かに結婚・妊娠していた。しかし、ムケーシュは、妻の妊娠を喜ぶどころか疎ましく思っており、ある晩、撮影中の映画のセットにシャンティを呼び出し、罠にはめて殺害。シャンティを助けようと駆け付たオームも、映画スターのカプール夫妻の車にはねられてしまい、搬送先の病院で息を引き取る。オームの死亡と同じ時、同じ病院でカプール夫人は男児を出産。その男の子はオームと名付けられて育ち、30年後、スター俳優として活躍するが……
『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』基本情報
2007年製作/169分/インド
原題:Om Shanti Om
監督: 『ハッピーニューイヤー』ファラー・カーン
出演 :
『闇の帝王DON ベルリン強奪作戦』『命ある限り』シャー・ルク・カーン
『若さは向こう見ず』『パドマーワト 女神の誕生』ディーピカー・パードゥコーン
『ポンペイ・トーキーズ』『あなたを夢みて』ラーニー・ムケルジー
『マイネーム・イズ・ハーン』『トリバンガ ~踊れ艶やかに~』カジョール
『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』『女神は二度微笑む』ヴィディヤ・バラン
『タイガー 伝説のスパイ』『プレーム兄貴、王になる』サルマン・カーン
『バルフィ!人生に唄えば』『ザ・ホワイトタイガー』プリヤンカー・チョープラー
『ピンク』『華麗なるギャッツビー』のアミターブ・バッチャン
『WAR ウォー!!』『火の道』のリティク・ローシャン
『命ある限り』ヤシュ・チョプラ
『バベル』シルパー・シェッティー
短評
私は今作を公開当時にはじめて観たとき、それほどインド映画の知識がなかったこともあり、この作品の豪華さに気づけていなかった。
今作の舞台となっているのは、ボリウッドということもあって、新旧ボリウッドスターが勢ぞろい。ボリウッドでは、サルマン・カーン、アーミル・カーンに並んで3大カーンのひとつり、シャー・ルク・カーンの交友関係がメタ的に働いていて、他の作品では決して観られない「アベンジャーズ」のような豪華さだ。
特に中盤にあるフィルムアワード授賞式後のパーティシーンのダンスに次々に登場してくる面々は血圧が上がりそうな顔ぶれ!!
それだけではなく、インドの映画業界やトレンドの変化も、70年代のボリウッドから、2000年代のボリウッドにシフトしていくことで、見えてくる。
2010年代に入り、さらにグローバル化が進み、ネット環境も普及したこと、変化する女性の社会進出への見方というものが反映されるようになっていったわけだが、今作のダンス、美術、衣装、メイクなどの変化でそれを伝えるのは、至難の業であったように思えるが、それを成功に導いたのは、当時はまだまだ珍しかったボリウッドの女性監督ファーラー・カーンによるものだ。
例えばミュージカル・シーンも前半の神秘的なダンスから、後半では、ディスコミュージックやラップ、ラテンといったアメリカやヨーロッパのトレンドを取り入れたものに変化していく。
主人公オームが輪廻転生して、また自分に生まれ変わって、さらに前と同じ顔になるということにはツッコミ所はあるものの、主人公が前世の意識を取り戻すことが、新しい時代に適応して変化していくの必要かもしれないが、インドらしさも中心核としては、残す必要はあるのではないか、というボリウッドが生まれ変わっていく過程の中にある、当時の試行錯誤がリンクしているようでもあるのだ
今作、間違いなくインド映画を語るうえで欠かせない一本である。
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