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この映画語らせて!ズバッと評論!!『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』この結末は…幸せなのか?問題

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』この結末は…幸せなのか?問題

作品情報

ベストセラー作家として成功した夫がある日突然、最愛の妻が自分のことを知らないもう一つの世界に迷い込み、互いの立場が逆転した世界で少しずつ真実の愛に目覚めていく姿を描いたファンタジー・ラブストーリー。主演は『ウルフズ・コール』のフランソワ・シヴィルと『マンク ~破戒僧~』のジョセフィーヌ・ジャピ。共演にバンジャマン・ラヴェルネ。監督は『あしたは最高のはじまり』のユーゴ・ジェラン。高校時代に一目惚れをし、ラブラブで結婚したラファエルとオリヴィア。それぞれ小説家とピアニストを目指していた2人だったが、結婚10年目を迎えた今は、ラファエルが人気SF作家として成功する一方、オリヴィアはピアニストを夢見ながらも小さなピアノ教室の先生に甘んじていた。自分のことしか考えないラファエルがそんなオリヴィアの孤独に気づくはずもなく、やがて彼女の不満が爆発。2人が大喧嘩した翌日、ラファエルは自分がしがない中学の国語教師で、オリヴィアが人気ピアニストとして活躍するもう一つの世界に迷い込んでしまったことに気づく。しかも彼女はラファエルのことをまったく知らなかった。再びオリヴィアの愛を勝ち取り、元の世界へ戻るべく彼女に近づいていくラファエルだったが…。

『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』レビュー

近年、パラレルワールド系作品を観て思うことは、物語への導入の雑さである。

スタートの時点からパラレルワールドではなく、途中からパラレルワールドに迷いこむ場合、その原理というのに説得力を持たせようとするがあまり、ストーリー自体の構成が難しくて、パラレルワールドという設定を断念するSF作家は多いと思うが、ライトノベルの影響なのか、とりあえずパラレルワールドに行く設定はよく分からないまま、パラレルワールド側の物語で誤魔化すという物語が多くなってきている。

今作も非常にその不安を感じさせる作品であった。

『バタフライ・エフェクト』や最近なら『ハッピー・デス・デイ』『アバウト・タイム 愛おしい時間について』みたく、タイムパラドックス問題を扱っていても、ベースにあるのは自分自身で、結末が変わったとしても自分であることには変わりない。

しかし、今作みたいなパラレルワールドの場合、 元々その世界にいた別の自分と入れ替わった、もしくは消滅した状態となっていることになる。「あの時、ああしていればよかった」といった、選択地点から枝分かれしたわけではない。分かれていたとしても、そこから時間が経ちすぎている。

すでに別の人生の中で、ある程度の年月を過ごしてきた自分であり、意識だけは、その世界においての自分ではない状態だ。

今作はマルチバースとタイムパラドックスをはき違えていないだろうか….ドラマの『フラッシュ』でも観て勉強してもらいたい。

例えば『イエスタデイ』の場合、周りの世界が違っていただけで、人物同士の関係性という部分では何も違ってはいなかったから、結ばれる関係になったとしても問題はなかったのだ。この場合は、マルチバースとタイムパラドックスをはき違えたとしても上手くいくだろう。

主人公の頭が悪いのかもしれないが、今作の結末…目の前の別世界の妻が幸せであるなら良いかのように描かれているが、元の世界に戻ったところで片方の世界が消滅するという設定ではないはずだ。

どう考えても決断として、元の世界の妻が幸せになったことにはならない。結局は主人公のエゴでしかないのだ。

なんとなくSF要素を散りばめることで、観ている側の意識をずらしているのだろうが、製作者がこれをハッピーエンドと信じているなら、非常に問題であるのではないだろうか…

短編映画や1話完結ドラマであれば、この強引さは許されるかもしれないが、1本の長編映画としては、かなりの違和感を残してしまう作品だ。

主人公がSF作家という設定でありながら、SFに疎いというのがさらに違和感を残す。

とは言っても、あえて出会いから10年間がダイジェストのように軽く描くことで、逆行的にフラッシュバックしてときに感動させ方は、かなり上手くできているだけに、恋愛映画としての演出としては見事である。

点数 74

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