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THE映画紹介『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』マーゴット・ロビーのカリスマ性が繋いだ企画!!

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』

作品情報

『スーサイド・スクワッド』に登場して世界的に人気を集めたマーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインが主役のアクション。悪のカリスマ=ジョーカーと別れ、すべての束縛から解放されて覚醒したハーレイ・クイン。モラルのない天真爛漫な暴れっぷりで街中の悪党たちの恨みを買う彼女は、謎のダイヤを盗んだ少女カサンドラをめぐって、残忍でサイコな敵ブラックマスクと対立。その容赦のない戦いに向け、ハーレイはクセ者だらけの新たな最凶チームを結成する。マーゴット・ロビーが自身の当たり役となったハーレイ・クインに再び扮し、敵役となるブラックマスクを『ムーラン・ルージュ』のユアン・マクレガーが演じた。

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』基本情報

2020年製作/109アメリカ

原題: Birds of Prey: And the Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn

監督: キャシー・ヤン

脚本 : 『バンブルビー』クリスティーナ・ホドソン

出演 :

ザ・スーサイド・スクワッド  “極”悪党、集結』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』マーゴット・ロビー

『ダイ・ハード4.0』『ジェミニマン』メアリー・エリザベス・ウィンステッド

プレイヤー 死の祈り』『タイラー・ペリーのテンプテーション 結婚カウンセラーの告白』ジャーニー・スモレット=ベル

『ドゥ・ザ・ライト・シング』『デッド・ドント・ダイ』ロージー・ペレス

スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』『ムーラン・ルージュ』ユアン・マクレガー

アリ・ウォン

新たな才能、新たな試み

2016年『スーサイド・スクワッド』で劇的なデビューを果たしたマーゴット・ロビー演じるハーレイ・クイン。彼女が演じたハーレイは、たちまちポップアイコンとして人気となり、人気が独り歩きするまでに発展した。

コミックやアニメ、ゲームまでもが影響を受け、ハーレイが主となる作品も増えたほどだ。

今作もマーゴット・ロビーによる、ハーレイ・クインであったからこそ、成り立った企画であり、完成することができたと言っても過言ではない。

監督には元新聞記者という異例の経歴をもち、長編監督デビュー作となる『Dead Pigs』(日本未公開)では、コメディというジャンルながらも、シニカルで鋭い視点で才能をみせつけた。

自身もアジア系ということから、レニー・モントーヤの同僚でかつての恋人であったエレン役にアジア系のコメディアンとして活躍するアリ・ウォンや、カサンドラ・ケイン役に同じくアジア系のエラ・ジェイ・バスコを起用するなど、キャスティングの点でも影響をもたらした。

脚本家には『バンブルビー』のクリスティーナ・ホドソンが参加している。ホドソンは、製作予定である『ザ・フラッシュ』『バットガール』の脚本を務めることが決定しており、今後DCエクステンデッド・ユニバースの世界観拡大において大きな役割を果たす脚本家のひとりだ。

現実と劇中の事実がリンクする

今作には、当初登場する予定であった、ジャレッド・レトー演じるジョーカーは登場しない。それは何故かというと、2019年に公開され、第92回アカデミー賞でも話題の的であった、ホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』が影響している。この『ジョーカー』の企画は、もともとジャレット・レト主演で映画化されるDCエクステンデッド・ユニバースの世界観を維持した作品になる予定であったが、製作側の意向から、独立した作品として製作さしぜじょーししれることになった。

DCコミックスの映画化作品としては、異例な世界観の作品として、世界を魅了すると同時に、新たなジョーカー像が強すぎるほど定着してしまった。

そんな状況によって、ジャレッド・レトーもジョーカーを今後演じることはないと、離脱してしまったのだ。

皮肉なことにDCエクステンデッド・ユニバース内のジョーカーを失った事実とハーレイ・クインのジョーカーと失恋したという境遇がリンクしてしまったのだ。

状況によって善にも悪にもなるハーレイは厄介な爆弾

今作でのハーレイは、自分のあり方に悩むことになる。今までジョーカーという存在のお飾りとして存在していた自分が、ジョーカーを失い、生きる目的も失ったことで悩み、苦しみ、殺し屋に襲われる日々を過ごす中で感じる小さな優しさや幸せを道しるべに自分探しをしている最中。

これは現実社会でも、依存していた相手と失恋することで目的や夢を失ってしまうという状況そのものでもあるが、状況によって善にも悪にもなるというハーレイのり不安定な精神状態は、ある意味、どう変貌するかわからないという爆弾でもあるのだ。

カサンドラ・ケインを保護したことで、少し心を開くものの、わかりやすい殺し屋やモンスターという相手を傷つけても何とも思わないような存在ではなく、信じていた、ごく一般的な中華料理店店主に裏切られたことで、自分の利益をかえりみないで心に従う無償の行為にも不安が生じてしまう。

結果的には、成り行き上、ピンチを脱するために、最終的には善という印象を受けるかもしれないが、『スーサイド・スクワッド』でもチームとして認識していた仲間をジョーカーが現れたことで見捨てて逃げるシーンがあった様に、いつ悪になったとしてもおかしくはないという厄介な爆弾でもあると同時に、ハーレイの持つ可能性や今後の世界観が気にならずにはいられない着地点は見事である。

リブート版『スーサイド・スクワッド』や『Gotham City Sirens』でもハーレイの登場は決定しているが、不安定であることこそが安定ともいうべきハーレイの活躍は目が離せない。

コミックとの違い

コミックにおける『Birds of Prey』は、1995年に読切りからスタートしたコミックシリーズで、2002年には『ゴッサム・シティ・エンジェル』としてドラマ化もされた。

チームメンバーを何度も変えながら続いているシリーズであるが、決してハーレイ・クインが主体となった作品ではない。

女性が中心となった、チーム構成ではあるが、ハーレイ・クインが参加したエピソードは実は少ないく、ハントレスやカサンドラ・ケインのように映画のために大きく改変されたキャラクターも多く、コミックスに忠実に描いているものではない。

年代やシリーズによって、設定が改変されるアメコミではあるが、今作がコミックスと大きく違っている理由としては、もともと『Birds of Prey』と『ハーレイ・クイン』は別企画として進行していたからなのだ。

あえてハーレイの物語をベース構造として、『Birds of Prey』のキャラクター達がメインでなくても印象に残るために、コメディ要素を加え、少しくせ者な設定にすることで、2つの企画が1つになっても、互いが邪魔しないでいられる環境が作られているのだ。

マーゴット・ロビーの身体能力だからこそ完成できたシーン

クライマックスにあるローラースケートを活かしたアクションシーンは、コミックスでも登場するスタイルではあるが、演出としては、ジャッキー・チェン主演の映画『五福星』(1983)と『バトルクリーク・ブロー』(1980)

のオマージュではある。しかし、これはマーゴット・ロビーの身体能力があったからこそ実現できたシーンである。

『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017)では、実在するスケート選手トーニャ・ハーディングを見事に演じていおり、その経験を活かしたようにも思えるが、実はその前から彼女はアマチュア・アイスホッケーチームに所属していたこともあって、彼女にとってスケートはお手の物。

特殊能力がない中で、いかにアメコミ的なスタイリッシュなアクションシーンを完成させるかというハードルを越えられたのは、間違いなくマーゴット・ロビーの功績である。

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