初の映画本『発掘!未公開映画研究所』の出版が待たれる映画評論家・映画ライターのバフィーによる徹底アカデミー賞分析。
■主演女優賞
アンドラ・デイ 『ジ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』
キャリー・マリガン 『プロミシング・ヤング・ウーマン』
フランシス・マクドーマンド 『ノマドランド』
ヴァネッサ・カービー 『私というパズル』
ヴィオラ・デイヴィス 『マ・レイニーのブラックボトム』
■助演女優賞
マリア・バカローヴァ 『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
グレン・クローズ 『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』
オリヴィア・コールマン 『ファーザー』
アマンダ・セイフライド 『Mank/マンク』
ユン・ヨジョン 『ミナリ』
まずは主演女優賞、
ゴールデングローブ賞ではアンドラ・デイが受賞した。他の映画賞ではノミネートもそれていなかっただけに、この結果は驚かれたのだが、これは個人的な推測であるのだが、おそらくゴールデングローブ賞は、こちらもまだまだ従来の映画会社、特にFOXを手に入れているディズニーの繋がりが強いように感じられる。
他ではあまりノミネートされていないHulu映画『パーム・スプリングス』もノミネートされていたぐらいだ。
『ジ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』もHulu映画だが、ここからアンデラ・デイがアカデミー賞にもノミネートされているという点に注目しないではいられない。
アカデミー賞においてもディズニーの繋がりが強いのではないだろうか…フランシス・マクドーマンドが受賞してもディズニー繋がりではあるが、フランシスは少し前に『スリー・ビルボード』で受賞したばかりである。ヴィオラ・デイヴィスは演技の上手い女優であるが、今回の『マ・レイニーのブラックボトム』に関しては、主演というより助演のように感じらて、インパントは弱い。歌も吹替えである。
最有力ともいわれるキャリー・マリガンも新境地を開拓したという点では、可能性は高い。
しかし、私はアンデラ・デイを推したい。
アンドラ・デイは今作で、かつて『ビリー・ホリデイ物語/奇妙な果実』において、ダイアナ・ロスも演じた歌手のビリー・ホリデイを演じている。作品自体は単にビリー・ホリデイの自伝映画というものではなく、切取り方も独特で万人受けはしないというのが正直なところ。
しかし、アンドラ・デイの演技は圧巻である。
実在の人物の演技をするだけでも難しいというのに歌も吹替えなしという点に注目してもらいたい。アンドラ・デイ自身が歌手でもあり、スティーヴィ・ワンダーに認められた歌唱力ともあって、クオリティは申し分ない。
去年もレネー・ゼルウィガーが『ジュディ 虹の彼方に』で歌と演技によって受賞した。『ドリームガールズ』でもジェニファー・ハドソンが圧倒的な歌唱力と演技で受賞した。
演技も上手く、歌も上手いという鉄板のアンドラ・デイが受賞しても何も違和感はない!!
これは余談だが、今年はジェニファー・ハドソンがアレサ・フランクリンを演じる『リスペクト』が公開される。これもアカデミー賞のノミネート候補に挙がりそうなタイトルであるが、もし今回アンドラ・デイが受賞したら、レネー・ゼルウィガー含め、3年連続で偉大な歌手を演じた女優が受賞するというジンクスが強固なものとなる可能性もあるのだ。
助演女優賞は『ミナリ』のユン・ヨジョンが固い。
しかし、オリヴィア・コールマンも捨てがたいところだ。
私の予想が的中した場合、主演男優・主演女優・助演男優が全て黒人となる。更にユン・ヨジョンが受賞となると、全ての俳優賞が有色人種ということになるのだ。
バランスをみてオリヴィア・コールマンかグレン・クローズというのも考えられなくないが…オリヴィア・コールマンは『女王陛下のお気に入り』で主演女優賞を受賞したばかり。
ここはやはりユン・ヨジョンが有力だろう。
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