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発掘!未公開映画研究所『ジーザス・クライスト・スーパースター Live in Concert』イエス・キリストを黒人が演じる!!

発掘!未公開映画研究所『ジーザス・クライスト・スーパースター Live in Concert』イエス・キリストを黒人が演じる!!

作品情報

約2000年前のイスラエル。大工の息子であるジーザス(ジョン・レジェンド)は、人々に新しい教えを説き、数々の奇跡を起こすことで民衆たちによって崇拝されていた。人気を高めるジーザスに対し、弟子のひとり、イスカリオテのユダ(ブランドン・ビクター・ディクソン)は危険を示唆するが、ジーザスはその忠告を聞こうとしない。そんなジーザスに、ユダは徐々に疑念を深め信心を失っていく。そんな中、マグダラのマリア(サラ・バレリス)は、ジーザスに純真で献身的な愛情をささげていた。ユダヤ教の大祭司カヤパ(ノーム・ルイス)は、大衆の支持を集めるジーザスに脅威を感じ、ついに他の祭司たちとともにジーザスを死刑にしようと企てる。思い悩むユダは、とうとうジーザスを裏切ることを決意し、祭司たちに居場所を教えてしまう。 イエス・キリスト(ジーザス・クライスト)が十字架にかけられるまでの最後の7日間を、イスカリオテのユダの視点から現代的な解釈で描いたロック・ミュージカル。『ラ・ラ・ランド』『ビトウィーン・トゥ・ファーンズ:ザ・ムービー』のジョン・レジェンドがイエス・キリスト役で主演し、米NBCテレビで生中継された特別番組でジョン・レジェンドが、この作品でエミー賞に輝いた話題作でもある。

発掘!未公開映画研究所とは?

宗教性の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。

それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。

日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。

「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!

今回紹介するのは『ジーザス・クライスト・スーパースター Live in Concert』

NBC恒例のミュージカル・ライブシリーズ

アメリカのテレビ局NBCで2013年のクリスマス・シーズンに放送されたキャリー・アンダーウッド主演の『サウンド・オブ・ミュージック ライブ!』からスタートした企画でこれまでにジェニファー・ハドソンやアリアナ・グランデが出演した『ヘアスプレー ライブ!』や『ウィズ・ザ・ライブ!』なども放送されてきた毎年恒例のシリーズで2018年4月1日に放送されたのが『ジーザス・クライスト・スーパースター Live in Concert』

近年では、米フォックスが『ヘアスプレー』や『グリース』を制作したり、ディズニーが映画より先行して『リトル・マーメイド』のLive版を制作するなど、様々な方向に影響をもたらしていて、ミュージカルのテレビライブ化合戦が勃発していて、ミュージカルファンとしては、こんないい時代はないと言いたいところだが、日本にはなかなか入ってこないのと、入ってきても観られるのが限りなく限定的だったりすることは悲しい。

『ジーザス・クライスト・スーパースター Live in Concert』はWOWOWで2019年に放送されて、2020年1月7日に再放送があるから、観られる人は観てほしいと思う。 観れない人は輸入版はDVDが販売されているから、日本でも購入可能。

イエス・キリストを黒人が演じる!!

最初のインパクトとして驚きを隠せないのが、主演がジョン・レジェンということ。はじめこの企画を聞いたとき、ジョン・レジェンドはてっきりユダ役なのだと思っていたが、実はイエス役なのだ。つまりイエス・キリストを黒人が演じているのだ。

『ジーザス・クライスト』自体、舞台でも映画でも観たことがある人なら、お分かりだと思うがイエスが十字架にはりつけされてしまうまでの7日間を「なんで?なんで?あなたは詐欺師なの?ただの人間なの?本当に神なの?」っていう問をユダ目線で展開されるという題材が題材なだけに長きに渡り、色んな方向からのバッシングを受けている作品ではあるのだが、イエス役はこれまで白人俳優が演じてきていた。映画界としてもテレビ界としても白人でなくても黒人をキャスティングするということは眼中にはなかった歴史をしかもNBCという国民的テレビ局とスタッフがブチ破ったのがこの作品なのだ。

舞台で言えばミュージカル版『ムーラン・ルージュ』は映画版でニコール・キッドマンが演じていたサティーンは黒人女優のカレン・オリヴォが演じており、白人と黒人のラブストーリーともなっているし、ディズニーが手がける実写版『リトル・マーメイド』は 黒人歌手のハリー・ベイリー、更に先行してLIVEミュージカルとして制作された『リトル・マーメイド』でも主人公アリエル役には『モアナと伝説の海』でモアナ役を務めたアウリイ・クラヴァーリョはハワイ出身で中国系やポルトガル系などの血を引いている。

舞台も映画もそうなのだが、オバマが大統領になってからというは、多国籍の主張権利というのは格段に上がったというのは、やはり感じずにはいられず、その当時はもそれが新鮮で「○○が黒人が演じる!」なんてワードが飛び交っていたわけだが、今となっては、それがごく自然に映画界にもドラマ界にも溶け込んでいて、『スパイダーマン:ホーム・カミング』なんかも多国籍になったり、逆に『ブラック・クランズマン』の様に逆手にとった様な作品も出てきているわけだが、イエス・キリストはまた別の位置に存在していたものであったのにも関わらず、認められてエミー賞も受賞しているということは、人々の意識も良い方向に変わってきたといて、更にトランプが不法移民や外国人を締め出そうとしていることへの反発心が思わぬ思考の転換に働いているのだ、。

アンドリュー・ロイド・ウェバーが製作総指揮

テレビで放送されるバージョンだから、テレビの人たちが制作した劣化版なんでしょ...って思いがちなのだが、この作品もそうだが、近年のテレビ局が手がけるミュージカル・ライブは、本物のクリエイターが参加していて、正に「本物」の舞台体験を家にいながらできてしまうという贅沢なものなのだ。

『ジーザス・クライスト・スーパースター Live in Concert』では原作ミュージカルを手がけていて、映画版『キャッツ』にも参加しているアンドリュー・ロイド・ウェバーが製作総指揮として参加している。

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