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THE映画紹介『ピーチガール』設定に難はあるものの、自己犠牲による「愛」が感動をよぶ!!

THE映画紹介『ピーチガール』設定に難はあるものの、自己犠牲による「愛」が感動をよぶ!!

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『ピーチガール』

作品情報

台湾でドラマ化され、日本でもテレビアニメ化された上田美和の人気コミックを、『去年の冬、きみと別れ』『女子ーズ』の山本美月と「Hey! Say! JUMP」の伊野尾慧の主演により映画化。伊野尾にとっては映画初出演作で初主演となる。女子高生・安達ももは、純粋でマジメな性格にもかかわらず、ギャル風な外見のせいで、周囲から誤解されて悩んでいた。ももの欲しがるものを手に入れるためには手段を選ばない友達の柏木沙絵は、ももが一途に思いを寄せる硬派でシャイなとーじを横取りすべく、ももにさまざまな罠をかけていく。そんなもものピンチを救った学校一のモテ男・カイリは、ももの一番の理解者として、次第にももに好意を寄せはじめる。とーじとカイリ、まったくタイプの異なる2人の間で、ももの気持ちが揺れていく。もも役を山本、カイリ役を伊野尾がそれぞれ演じる。監督は『モテキ』『バクマン。』など大根仁作品でチーフ助監督を務め、本作が劇場用映画初監督作となる神徳幸治、その他の出演者には『帝一の國』『君は月夜に光り輝く』の永野芽郁、『東京喰種 トーキョーグール【S】』『十二人の死にたい子どもたち』の新田真剣佑など

『ピーチガール』基本情報

2017年製作/116分/G/日本

監督: 神徳幸治

出演: 山本美月、永野芽郁 、新田真剣佑など

『ピーチガール』おすすめポイント

漫画の設定を現代に変更したことで不安定な設定に

まずはじめに映画化する時代を間違えている。

漫画の設定では1997年頃のため主人公がガングロ女子校生なのに実はすごく乙女チックというギャップというものだったのに対して、2017年、さすがにガングロ女子という設定にするわけにもいかず少し黒いという設定(言うほど黒くもない)でギャル感がすごくうす~くなってしまっていて、この漫画の設定自体が霞んでしまう。

ももに対して回りが『遊んでそうだよね~』って言ってるけど、山本美月が演じているせいで全然そうは思えない。

せめてもっと威圧的な印象のある女優を選ぶとかしてほしかった。どうも山本美月が適役とは思えない。キャスティングもそうだけど、そもそも何故今更これを映画化したのかと正直疑問だらけ。絶対時代間違えてる。と根本的な部分で悪い印象を与えられてしまっている映画とそもそも少女漫画の映画化の不発続きでハードルが極端に下がったせいか意外にもおもしろかった。

自己犠牲による「愛」が感動を呼ぶ

この際、設定の問題はおいといて、主人公のももがとーじかカイリのどちらを選ぶかというのがなかなか読みにくく、さえの仕掛けるトラップの巧妙さがまたいい分岐点の役割を果たしている。

伊野尾くんの演技が悪い意味でなかなかのくせものだが、逆にそのおかげでカイリというキャラクターの見かけと内面のギャップが原作よりも引き立っていて、心に抱える影の部分がうまく演出てきている。そのせいで自己犠牲の精神をもつカイリがすごくいい人に見えてしまって正直、とーじの存在が霞む。『そして、誰もいなくなった』の時は別に演技は普通だった気がするから別に下手というわけでもないと思うだけに、過剰な役作り?が逆にキャラクターに深みを出している。演技って深い...改めてそう思わされる。

設定以外の問題的としてはとーじとカイリの内面の描き方が極端なためにバランスが悪い。カイリのサイドストーリーは深く描かれるものの、とーじは結構雑に描かれている。ももと一時は付き合ったものの、突然別れた理由は後々になって発覚するわけだけど、その間のとーじの葛藤があまり描かれていなかったのが残念。ももがどちらを選ぶかの肝となる部分でもあるわけだからもう少し描いてほしかった。原作が完結しているだけにその結末に寄せようとするがあまりストーリーベースがカイリよりになりすぎている。

いろいろ気になる部分はあるものの、観終わってみると全体的に自己犠牲による人を想う心をテーマとしていて、なかなか深いことに気づかされる。自分の感情を押し殺してでも相手の幸せを願うという古臭いながらも王道のラブストーリーに不覚にも感動してしまった。

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