この映画語らせて!ズバッと評論!!『ホームステイ ボクと僕の100日間』

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ホームステイ ボクと僕の100日間』

作品情報

日本ではアニメ映画化もされた直木賞作家・森絵都の小説「カラフル」を、タイで実写映画化した青春ファンタジー。死んだはずの“ボク”の魂は、謎の声に「当選しました」と告げられ、自殺した高校生ミンの肉体に“ホームステイ”することに。ミンの自殺の原因を100日以内に突き止めなければ、ボクの魂は永遠に消えてしまうのだという。新生ミンとして人生を再スタートさせたボクは、初めて訪れた街で見知らぬ家族や同級生に囲まれながら、違和感だらけの学校生活を送り始める。様々な出会いや経験を経て、誰かを大切にすること、大切にされることを知り、初めて生きる歓びを感じるボクだったが、1台の壊れたパソコンの存在をきっかけに、ミンを苦しめた残酷な現実に向き合っていく。出演は『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のティーラドン・スパパンピンヨーと、タイの国民的アイドルグループ「BNK48」のチャープラン。

『ホームステイ ボクと僕の100日間 』レビュー

ホラー畑の監督だからこその独特の演出

森絵都の小説「カラフル」をタイで映画化した作品。過去にも2000年には元ジャニーズの田中 聖主演で映画化、2010年に長編アニメ映画化されていることもあり、今回で3回目の映画化となる。

監督・脚本能力パークプム・ウォンプムは2004年に『心霊写真』で初長編監督デビューをして以来、主にホラーを多く手掛けており、海外でも配給されているが日本では『心霊写真』以来の公開作品となる。

ホラー畑の監督ということもあって、冒頭の目覚めるシーンやミンが自分の部屋に入ろうとするシーンなど、やたらとホラー的演出を加えてきて、このままミステリー色を強調した作品に仕上げるのかと思えば、学校生活が始まると、観ていて恥ずかしくなるぐらいの甘いラブコメ要素も盛り込まれるなど、映画自体の構成も「カラフル」なものになっている。

この映画を観てから、2010年のアニメ版を観てみたのだが、「ぷらぷら」というキャラクターがこの作品では「案内人」とされており、終始不気味な演出でホラー色が際立っている。

タイならではの文化やキャラクターの構造変更

この作品では、監督のホラー・スリラー的演出の様に意図的にアレンジされたものもあれば、タイの文化や風潮に合わせた設定の変更も数多くある。

例えば原作や過去の映画版では主人公が油絵を描くことが作品のベース的設定とされているものの、タイでは高校で油絵を描くという文化がないため、不自然だということでタイの高校の文化祭ではよく行われる人文字の原画という設定にされている。そのため、なかなか抽象的な作品を描くということが困難となっているが、そこに関しては上手くカバーできている。

ヒロインのパーイにあたるキャラクターは原作では、援助交際をしているという設定だが、タイの女子高生に援助交際をするという設定は無理があるらしく、この作品では科学?数学?のオリンピックに出場させてもらうために、仕方なく教師に体を許してしまう(ここははっきりとした演出がなく、ただキスだけしていたともとれる)という設定になっていて、パーイのおかれていた環境下において同情できるものとされているのだが、これはヒロインであるパーイがBNK48のメンバーということが影響していて、あまり悪い印象を残すことができないという裏事情もあったのかもしれない。そのため、原作よりもヒロイン性が協調されていると言ってもいいだろう。

というのも、この作品では本当のヒロインとして、親友の女子(途中まで男だと思ってた)リーの存在があるのだが、パーイとの恋愛シーンに尺を取りすぎていて、リーは途中から全く出てこなくなり、後半でやたらと登場してくるため、ストーリーの関わり方のバランスが悪く、リーというキャラクターの印象がパーイのアイドル的・ヒロイン的印象を強めることで薄くなってしまっている。

結果的にミンはどっちが好きなんだろう…という含みを持たせることもしないため、ずっとミンを見守ってきてくれていたリーはなかなか可哀そうな扱いをされている。

原作ではタイムリミットが24時間という設定なのに対して、タイ版は100日というのは、なかなか長い尺を使っているのだから、リーとの関係性や実は弟を気遣っていた兄にも、もう少しピントを当ててあげてもよかったと思う。ミンとパーイのキャピキャピしたシーンに尺を使い過ぎた結果だろう。

点数 70点

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