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この映画語らせて!ズバッと評論!!『東京喰種 トーキョーグール【S】』松田翔太による変態の演技は絶妙!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『東京喰種 トーキョーグール【S】』松田翔太による変態の演技は絶妙!!

作品情報

「週刊ヤングジャンプ」で連載された石田スイによる人気コミックを原作に、窪田正孝主演で実写映画化された「東京喰種トーキョーグール」のシリーズ第2作。人間社会に紛れ込み、食物連鎖の頂点とされる人間を食らう種族「喰種(グール)」が潜む東京。あることをきっかけに半喰種になってしまった大学生のカネキは、人間と喰種の狭間で葛藤しながらも、喰種たちの駆け込み寺でもある喫茶店「あんていく」に身を寄せ、トーカらとともに生活をしている。そんな中、「美食家(グルメ)」と呼ばれる喰種・月山が「あんていく」にやってくる。半喰種というカネキの特殊なにおいに目をつけた月山は、カネキを「グールレストラン」へと招き入れる。窪田が前作に引き続き主人公カネキを演じ、本作から登場する月山役を松田翔太、ヒロインのトーカ役を新たに山本舞香がそれぞれ演じる。

『東京喰種 トーキョーグール【S】』レビュー

前作を観ていない人は置いてけぼりの不親切続編

2017年に公開された1作目『東京喰種』の正当続編ではあるが、観客が1作目を知っていて当然かのごとくストーリーが展開されて、オープニングの音声のない1作目のシーンだけでわかるはずもなく、前作を観ていない人はこの時点で置いていかれる。

清水富美加こと千眼美子が演じていたトーカが山本舞香にキャスティング・チェンジされていてやりにくい部分はあるかもしれないが、それにしても不親切だ。

基本情報ぐらいはミニダイジェスト入れてもよかったのではないだろうか…

前作で描かれていたカネキがどう喰種として生きるのかという葛藤や成長過程が今回あまり描かれておらず、ドラマで言えば3、4話と言った感じで、その後も続くかのような構成となっているため、謎の新キャラクターが登場するが原作を読んでいない人にとっては謎でしかない。

目的も飛び交うワードも内輪で満足しているだけの様に思えてしまうし、原作や前作を観ていなくても1本の作品として観られる作品に仕上がっていないというのが大きな難点だろう。

「全3部作ですよ」とでも言ってくれているのであれば、ある程度納得できるが、続編のアナウンスがされておらず、いったい次が何時観られるのか、そもそも製作自体されるかも謎である状態で、続く前提でのストーリー展開や謎のキャラ出しは物語のまとまりを壊しているだけにしかならない。

特に漫画原作ものはヒットしなければ続編ゴーサインが出なため、もし続編がなかったとしてもこれで一応、完結できてるって作品にしておかなければならないのに最近はネットでの映像配信など、逃げ道が多く存在しているため、その定義を無視した作品が多い様に思える。

松田翔太による変態の演技は絶妙なのだが…

主人公たちの人間ドラマが薄口ということで、より際立ってしまうのが松田翔太演じる月山の存在感だ。

松田翔太の演じてきたキャラクター史上、今までにないような独特な間でじめじめした様な変態なキャラを作り上げている。これは本来、評価できる点であるのだが、それは主人公サイドの成長行程がしっかりしていればの話。

主人公たちのドラマが濃いのであれば、対照的な存在として、よかったのだが、作品の構成自体がグラグラな状態で濃いキャラクターを出して、しかも演技派をキャスティングしてしまったら、もはや月山というキャラクターだけが目立ってしまって、作品の趣旨が霞んできてしまう。

松田翔太のキャラクター構築については評価できるが、それによって作品自体が霞むという問題は無視できず、結果的に松田翔太の演技が良いがために作品が駄目になってしまっているという、何とも不思議な状態の作品だ。

人間サイドのドラマは今回無視?

前作に続き人間サイドの主人公である亜門役として鈴木伸之がキャスティングされているが亜門自体の登場シーンが2、3分しかなく、とても人間サイドの主人公とは考えられない扱いをされている。

前作ではカネキやトーカらの喰種と喰種対抗組織の駆け引きによって、人間から見た喰種に対する恐怖感や敵対感を描いていて、本来はそこに月山という驚異が現れ、3つ巴になるという構図が好ましいのだが、今回は人間サイドのドラマが全くと言っていいほど描かれておらず、単に仲間内のいざこざにしか感じられないがために全体的にこじんまりとしてしまっている。

カネキが喰種になった原因の事故は実は仕組まれていた…っていう謎を放置したままだが、本当に続編はできるだろうか…ここまで来たら3作目は製作してほしいし、それを観て改めて評価できる作品だと言えるだろう。

点数 55点

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