作品情報
監督は『THE KILLING 〜闇に眠る美少女』のヴィーナ・スード、出演は『キスから始まるものがたり2』『見せかけの日々』のジョーイ・キング、『フライトプラン』『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』のピーター・サースガード 、『デビルズ・ノット』『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』のミレイユ・イーノス、『ザ・オーダー 暗黒の世界』のデヴァリー・ジェイコブス、ダニ・カインドなど
『冷たい嘘』レビュー
『透明人間』『ハロウィン』などで知られるブラムハウス・プロダクションズによるアンソロジー「Welcome to Blumhouse」のプログラムのひとつとされているが、今作はもともとドイツ映画『Wir Monster』のリメイクとして製作が開始され、「Between Earth and Sky」というタイトルで2018年にトロント国際映画祭で上映された作品であり、その後公開の目途が立たなかった作品であることから、おそらく「Welcome to Blumhouse」というもののために製作されたというよりは、新型コロナウイルスによって表舞台に出すことができなかったブラムハウス映画救済プロジェクトのひとつなのだろう。
かつて幸せだった家族も今では、離婚寸前でそれぞれにはパートナーがいて、日によって母と過ごしたり、父と過ごしたりしているケイラは、15歳という多感な時期ということもあり、今置かれている環境が嫌で、家族が元に戻ればいいと思いながらも、そうはいかないという現実がケイラを苦しめていく。
近年だと『マリッジ・ストーリー』という作品もあったが、様々な映画やドラマで描かれてきている、いつの時代にも当てはまる離婚問題の中での子供の心境を描いた作品である。
そんなケイラがある日、親友のブリタニーを橋から、突き落として殺してしまったことを告白したことで、まだ15歳の少女の娘の未来を守るために偽装工作をして、ブリタニーの父親が娘を殺したという筋書きにしようする。
それまでは離れ離れで生活していた両親が、ケイラの精神状態や今後のことを考えて一緒にいることになり、最悪の事件が起きたにも関わらず、ケイラが思い浮かべていた家族3人での生活を取り戻したのだ。
離婚を決めた両親が、離婚の手続きのことや、将来のことを話し合うことで、いつもよりも会話する時間が増えて、離婚するときの方が夫婦はいい関係になっているという皮肉もネタとしてあるぐらいだ。
昔のように話している両親、笑っている両親を見ることで、このままではいけないとは思う気持ち半分とこのままでいてほしいという気持ち半分がケイラの「ある告白」を踏みとどめさせていたのだが、娘をどうにか犯罪者にしたくないという親子心が新たな事件を起こしてしまうという、親の愛情をとてつもなく皮肉った内容の作品で、常に「あなたの娘ならどうしますか?」と綺麗ごとや偽善的ではない、回答を求められているようだ。
ラストで明かされる事実には、言葉を失うだろう。その余韻を残したまま終わるというとてつもない後味の悪い作品ではあるが、これが罪を犯したものの代償なのだろう…
ジョーイ・キングは、正に「何か」に悩める10代を演じることに天性を感じずにはいられないほどの女優に成長してきている。20代になったジョーイの今後の活躍も目を離すことができない。
点数 80
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