作品情報
ハリウッドの映画音響にスポットをあてたドキュメンタリー。1927年に初のトーキー映画『ジャズシンガー』が誕生して以来、常に進化を続けている映画音響。本作では『キング・コング(1933)』『市民ケーン』『ROMA ローマ』など、新旧名作群の映像を使用し、映画音響の世界を紹介。ジョージ・ルーカス、スティーヴン・スピルバーグ、デビッド・リンチ、クリストファー・ノーランら監督陣、『スター・ウォーズ』のベン・バート、『地獄の黙示録』のウォルター・マーチ、『ジュラシック・パーク』のゲイリー・ライドストロームといった映画音響界のレジェンドたちのインタビューを盛り込み、映画における「音」の効果と重要性に迫っていく。
『ようこそ映画音響の世界へ』レビュー
今作を観て、15年ぐらい前にドラゴンボールの特番の中で、サンダルかスリッパを重ねて瞬間移動の音を作っていたのを思い出した。
まさか技術が進歩したアメリカ映画やハリウッド映画の中でも、未だに似たようなことをして音を作り出していたのだ。時代が進んでもアナログな部分が残っているとは思わなかったし、今後映画を観る際に「音」に注目するという新たな視野を与えられた。
映画業界において、影ながら支えているのが「音」であることは、言うまでもないのだが、それに特化したドキュメンタリーというのは、意外になかった。
『すばらしき映画音楽たち』のように音楽に限定したドキュメンタリーというのは、何本か観たことがあったが、同じ音とはいっても「音響」はまた別物。大変興味深く観ることができた。
限られた技術や環境の中で、いかに効果的に映画に「音」を取り込むかと奮闘した者たちの物語にもなっていて、私たちが知っている『ジュラシック・パーク』や『キング・コング』『スター・ウォーズ』などなどのバックステージを覗き見るような感覚も楽しい。
「音響」に特化している分、今までしらなかった専門的用語を勉強しながら、同時に「音響」に軸をおいた映画史というのが、今まではあくまで「映像」に軸をおいた映画史というものに触れてきていた分、とても興味深かった。
監督自身が音響デザイナーであるミッジ・コスティンということも説得力が強く、現場にいた者しかわからない情報や空気感を見事に映し出している
クリストフアー・ノーランやソフィア・コッポラ、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・リンチなどなど...多くの映画人のそれぞれの「音響」に対する想いがつまったインタビューの数々もまた作品の魅力のひとつである。
点数 77
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